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北海道が生んだ文豪 吉野寿とeasten youth

そろそろ本格的に夏なので、easten youthの話をしよう。
ご存知の方も多いと思うが、eyは北海道出身の大ベテランバンド。NUMBER GIRLの解散ライブのMCで向井秀徳が挙げていたバンドという認知の人も多いかもしれない。
そんな彼らの代表曲といえば「夏の日の午後」だ。数年前にフジロックのライブ映像で知り、「住職みたいなボーカルだけどめっちゃカッコいいな」と思って以来、夏になると定期的に聴いている。今年も図書館で「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」を借りて聴いた。
鬼気迫るエモーショナルな演奏が魅力的な彼らだが、歌詞カードを手に取ってみると(借りてるものだが)、吉野寿氏の書く歌詞の文学性に驚く。

初期スピッツとかにも使われてた縦書きの歌詞。汚いのはご愛嬌。


歌詞が良すぎて、既存の詩にリズムを合わせた童謡のようにも聞こえてくる。

蝉時雨と午後の光
まだ生きて果てぬ この身なら
罪も悪も我と共に在りて

「夏の日の午後」

「蝉時雨」ってワードを使うところから詩人っぽさを感じる。「蝉の音が騒がしく響く〜」とか言ったほうが伝わりやすいんだろうけど、確実にひとつの詩を作るために言葉を選んでるんだろうなという感じがする。

俄雨と濡れた舗道
傘持たず走る街の角
追い付けない
追えば逃げる影に

「夏の日の午後」

表現される情景があまりにも綺麗だから、雲(あくまで自分の解釈であって、雲以外のものを思い浮かべている人もいるかもしれないが)という言葉を使わず「追い付けない 追えば逃げる影に」で空に浮かぶ雲がはっきりと頭に浮かぶ。PVでは海沿いをバイクで走る映像が使われているが、個人的には、暑さを堪えながら田畑だけが続く何もない道を走っていくようなイメージの歌詞だ。

絶え間無く震える現身は
幻の誰ぞや夢む

『いずれ暮らしの果てに散る』

「青すぎる空」

曲は変わるが、これもスゴい。歌詞というより、戦前の作家が日記に書いてた文章みたいな感じ。実際、吉野氏は坂口安吾、太宰治、梅崎春生などの作家から影響を受けたらしい。

ここまでずっと、歌詞にスゴいとばかり言い続けているが、サウンドだって素晴らしい。
所謂エモと形容されることの多い(本人は否定)彼らのサウンドだが、そこに幻想的な雰囲気を取り入れることはなく、人間臭くて叙情的なメロディーを展開しているのが大きな特徴だ。これがまた歌詞の文学性を引き立ててるいい要素になっている。クレジットで、吉野氏の担当パートが「ボーカル」ではなく「ボイス」なのも、曲を聴けば納得するのではないだろうか。

真昼の眩しさが
景色を燃やすので
私は思わず口籠る
―さざめく屋根瓦―

「男子畢生危機一髪」

最後にもうひとつ引用。「夏は暑い」をこんな文学的な30文字に変換できるのがスゴすぎる。
今年は35℃などとうに超えたどうかしてる暑さの中、陽炎がゆらゆらと燃えているのを見ながらeasten youthを聴こう。

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