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壊したくなるほど、君は芸術ー風まかせ文芸部

君は芸術。

色白の肌は陶器のようになめらかで
やわらかい。

栗色の髪は風にそよぎ
甘い香りを運ぶ。

笑うたびに鳥たちが羽ばたき
その声に世界は武器を捨てたくなる。

……けれど、僕の中の武器は
君を見るたびに研がれていく。

美しさは人を救い
同時に壊していく。

僕は美術館の隅に立ち
遠くから君を見つめる。

観客でもなく、作者でもない。

ただ、展示されたまま
動けないオブジェの一つ。

君の周囲では光が踊り
笑顔が花のように咲いている。

僕はその外側で
息を潜める影に過ぎない。

おかしいな。

僕はこの、芸術のような君を敬い
愛でていたいのに
時に壊したくなる。

——それが、芸術の宿命のように。


——ガシャーン。

手の中のガラス瓶が割れた。

それは偶然ではなかった。

胸の奥の“何か”が
静かに音を立てて崩れた。

周囲の視線が突き刺さる。

君が、落ちた瓶を見て
そして僕を見た。

初めて、君の視界に僕が映った。

「大丈夫? 怪我してない?」

可憐な声。

栗色の髪が揺れ、
彼女は武器を持たぬ手で駆け寄ってくる。

僕の手は震え、頬は熱く
喉の奥で何かが軋んだ。

——この人は、
世界を止めてしまう。

その瞬間、僕は悟った。

これは恋ではなく、信仰だ。

芸術は、人を救い、狂わせる。

それでも、人は——
その美しさに惹かれ続ける。


お読みいただいて、ありがとうございました。本作は風まかせ文芸部さんの企画に参加しております。


自分にとっての黄金比——
そんな風に、理由もなく惹かれてしまう人っていますよね。

私にとっては、マイケル・ジャクソンかもしれません。
名も知らない頃、彼のダンスを初めて見た時、息を呑むほどに美しくて、気づけば食い入るように見つめていました。

そんな存在がもし、身近にいたら——きっと
いてもたってもいられない。
そんな“ソワソワする気持ち”で、この物語を書きました。

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