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抱きしめてくれるなら〜風まかせ文芸部

いつもの穏やかな微笑み。
いつもの優しい口調。
いつものあたたかな手。

そんなあなたの笑顔が、
ふと消える。

そして、また何事もなかったように
微笑む。

私があなたに抱きつくと、
あなたは一瞬、体が固まる。

すぐに微笑んで、私を抱きしめる。

小さな違和感。

「ねぇ、どうして抱きつくと、
ちょっと固まるの?」

私の問いに、あなたは考える。

あなた「君に抱きつかれると、嬉しくて
つい強く抱きしめてしまいそうになる…
だから、ちょっと落ち着かなきゃって自分を
なだめてる」

あなたは照れくさそうに頭をかく。

私の頬も熱くなる。

「笑顔が、時々ふっとなくなるのは?」

あなた「気づいてたのか…」

あなたは驚くように私を見た。

あなた「君の笑顔が可愛くて、抱きしめたい気持ちを、ちょっと抑えるんだよ」

穏やかに、優しい瞳が私を見つめる。

「だ、抱きしめてくれていいのに」

私は照れながら、あなたを見る。

あなたから笑顔が消える。
そして、少し瞳を反らす。

あなた「うん…でも壊したくないから」

そう真剣に言うあなたの横顔は、
どこか寂しそうで、胸に痛みを抱えているようだった。

私はそっと、彼の手を握った。

「壊したりしないよ。むしろ、壊れちゃうくらい抱きしめてほしいの」

言葉にしてから、自分でも照れて俯く。

彼は驚いたように目を見開き、
それから小さく笑った。

「そんなふうに言われたら、もう我慢できないな」

次の瞬間、胸の奥まで届くような強い抱擁に包まれ、  

小さな違和感は一瞬で、大きく包み込む愛に変わった。

彼の熱に、私は幸せに溶けていった…


お読みいただいて、ありがとうございました。本作は風まかせ文芸部さんの企画に参加しております。


人は思う以上に、小さな違和感を敏感に感じ取っているものですよね。

それをそっと言葉にしてみるだけで、心の距離が近づいたり、新しい温もりに気づけたりするのかもしれません。


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