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君が名を呼ぶときー風まかせ文芸部

ここに形も名もなき真心がある。

私はそれを“優しさ”と名付けた。

それを君に贈る。

「君は優しい心の持ち主だよ」と。

君はそれを受け取った。

少し、嬉しそうにね。

それから君は心に“優しさ”を
もつようになる。

そしてその優しさを、
人に与えるようになる。

君から優しさを受け取った人は、
また心に優しさを灯しながら、
誰かを照らす。

形なきものに名を与え
輪郭をつくる。

名を持った優しさは
人へと渡る道になる。

――それが、私の「技道」。

私の仕事?

神律翻訳官と呼ばれている。

聞いたことがない?

そうだろうね。

これは天界の仕事だから。

私?

天使なんて呼ばれるけれど
君が私をどう呼ぶかは、
君が決めればいい。

君が名を呼ぶとき、
初めて音が形を作る。

その瞬間
君だけの「技道」が始まるのだから。


お読みいただいて、ありがとうございました。本作は風まかせ文芸部さんの企画に参加しております。


あとがき

日本人は「道」のつく文化を生み出すことが得意だと言われています。

他国の文化も自国でオリジナルに変えて道にする。それがまた世界に浸透したりします。

神律翻訳官は造語ですが、私にとって「言葉」とは無を有に変える奇跡の力と思っています。

その力が今日も優しい世界を作る担い手となって、「道」になることを願っています。

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