パリピと素麺パーティ
ここは東京都内。
23区から離れた静かな街。
大きな団地の1室が我が城。
私は花村硝子。
アラフォー。
そしてー
「ママ!おはよ〜」
「テレビは?」
娘のミンちゃんは6歳。
起きてすぐにテレビをつける許可を貰いにくる。
休日は8時を越えないと見られないルールだ。
「どうぞ」
「やった〜!」
これが土日の恒例の会話。
YouTubeKidsから流行りの音楽が流れ、娘は軽快に踊り出す。
「素麺作ったら食べる?」
「うん!」
土日は起きた時からスイッチ全開に元気だが、平日の朝はベッドの上でダラダラと横になっている。
子供も大人も気持ちは一緒だ。
テーブルにタオルを敷き、ボールに入れた素麺とトングを置く。
何でも“自分でやるブーム”が開催されてから、後片付けをいかに楽にするかをこちらも考えるようになった。
「できたよ」
「素麺パーティだ〜!」
刻み海苔を皿に少し入れる。
このセルフ方式が娘にはパーティらしい。
しかし同じセットにしても、先に1人で食べさせると、“ぼっちパーティ”になるらしく食欲は激減する生粋のパリピだ。
たどたどしい手付きでトングをとり、震えながら素麺を器に入れる様を手を握るように見つめる。
手出し無用である。
ボタボタ垂れる水は敷かれたタオルに吸水され、心に安堵が広がる。
無事に食べ始めると、ようやく私の手も動かされる。
「おいしい〜!」
「それは良かった」
安心して食べ始める。
器を置いて、刻み海苔に手をかける。
娘が再びトングを取った拍子に、私の器を跳ね上げた。
テーブルに敷いたタオルを飛び越え、床に飛び散る麺つゆが膝を濡らす。
「ママ、ごめ〜ん」
「…派手に飛ばしたなぁ」
ため息を付きながら、タオルを手に取る。
「も〜言わんこっちゃな〜い」
娘は箸をとり、素麺を口に運ぶ。
こっちが仕方のない親みたいになってるじゃないか。
これがパリピと暮らす日常である。
