パリピの違和感
ここは東京都内。
23区から離れた静かな街。
大きな団地の1室が我が城。
私は花村硝子。
アラフォー。
そしてー
「ママ〜、このタオル違うよ」
娘のミンちゃんは6歳。
タオルのタグには“はしもと”と書かれた名前シールが貼られていた。
「ホントだ、よく見つけたね」
「もぉ〜“はなむら”よ?
シール貼って」
旧姓の花村に戻って10ヶ月になる。
娘には小学生になる少し前に名前が変わることを伝えた。
ママとお祖母ちゃんと同じ姓になると伝えると、娘は“やった〜!”と喜んだ。
違和感や不安はないかという心配はどこ吹く風だった。
むしろ生まれて数年使ってきた姓に、すでに違和感を感じているようだった。
シールを貼り替えると、娘はもう振り返ることもなく、公園に行く準備を始めた。
青い帽子を嫌がり、緑の帽子がいいと強く主張する。
公園もまた娘には社交の場のため、今日のファッションに真剣だ。
「今日は暑い?寒い?」
「暑いよ、半袖がいいかな」
「半袖はこれ、ズボンはこれ。これでどうでしょう!?」
「いいと思います」
公園についてしまえば、元気に走り回る。
そしてすぐに走り戻る。
「かゆい!」
「ちょっと引っ掻いてるね」
「違う、かゆい!」
「刺されたというか…擦ってるんだよね」
「違う!かゆいの!」
「刺された?」
「そう!」
虫刺され用の薬を付けると、また走っていく。
まだまだ、お薬と絆創膏が最強の6歳。
ミンちゃんは“違和感に敏感”なのだ。
名前も、服も、身体も。
違和感を見逃さない。
それがパリピの歩む道。
