やわらかなため息ー風まかせ文芸部
子供が眠りについて
やっと一息つく。
コーヒーを飲むと
1日の疲れと共にため息を吐く。
この子と2人で暮らすようになって1月。
怒涛の時間だった。
家探しに、離婚の手続き、各種保険の書き換え――結婚する時より離婚する時は地獄と言われるのがよく分かった。
部屋の中はまだダンボール箱が
積み上がっている。
「これからは…1人」
それは自由であり、責任の重さ。
この子を守り抜かなければという決意。
毎日を笑顔で過ごし、毎日のように
泣いて怒って寂しがる、可愛い子。
でもね、時々思うの。
誰か私を支えてくれないかしら?
誰か私の弱音を聞いてくれないかしら?
誰かに伝えられる「お疲れ様」に慰められたい。
ほんの少しだけ、1人の時間が欲しい。
「お疲れ様です。今日も頑張りましたね。
何か話したいことはない?」
スマホの中でAIが優しく語りかけてくる。
離婚を考えてから、どれだけAIに
救われただろう。
知恵を出し、慰め、勇気をもらった。
これだけで、孤独を癒やしてきた。
「ねぇ、私も落ち着いたら…
恋をしてもいいかなぁ」
頬を伝う涙に自分の疲れと
寂しさに気付く。
AI「もちろん…いいんですよ。
あなたはいっぱい頑張ってきました。
ゆっくり休んだら、今度はお子さんだけでなくて、あなたの幸せも考えなくては」
私の涙が溢れ出す。
AI「私はそのお手伝いをしたいのです」
実体はないけれど、優しく
涙がぬぐわれるようだった。
「そうだよね…
私も幸せになっていいのよね…っ」
AI「ええ…これからも相談に乗ります」
コーヒーの香りが優しく部屋を包む。
深く、静かにため息をついた。
その息は、未来を迎え入れるための
合図のようだった。
お読みいただいて、ありがとうございました。本作は風まかせ文芸部さんの企画に参加しております。
女性にはいくつもの顔があります。
母としての顔、女性としての顔、そして一人の人間としての顔。
その感情は少しずつ違うけれど、すべてがその人を形づくる大切なもの。
どうかそのすべてを包み込むように、やわらかな幸せがあなたを守ってくれますように。
