#本名より先に覚えた君の呼び名
現実の名前よりも先に覚えた“呼び名”がある。
ネットで出会ったふたりの距離は、本名よりも軽くて、本名よりも深い。
そんな曖昧で確かなつながりの話です。
君の名前を呼ぶとき、僕はふと思うんだ。
「ホントの名前は?」 って。
現実の名前じゃなくても、画面越しのアナタは確かにそこにいて、
僕の視界の片隅でひそやかに光っている。
メッセージを開くたび、通知音が小さな鐘のように鳴って、
通話を重ねるたび、僕の心はそっと跳ね上がる。
守られた空間の中で、僕はアナタと喋る。
会えば、手を伸ばせば届く距離になっても、
その“分身の名前”が、僕たちの距離をやさしく保ってくれる。
近すぎず、遠すぎず、心地よく交わるリズム。
そして、僕は思う。
現実の名前より、君をアカウント名で呼ぶこの距離のほうが、
僕たちの関係をそっと特別にしているんじゃないかって。
