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待ち続けた男

✍️まえがき
人は、いつまで誰かを待ち続けられるのでしょうか。
過去に置き去りにされた想いと、時間に取り残された男。
カウボーイのイーサンが再び出会ったのは、愛した人と…彼の知らなかった未来でした。
静かに心を揺らす、ある昼下がりの物語をお届けします。


📖本文
「待ち続けた男」
アシュランドの港町に、カウボーイのイーサンは住んでいた。
この町にきて1ヶ月。オリビアはこの町にもいない。
イーサンは10年前にはぐれたオリビアを探している。
牧場を点々としながら、オリビアに似た女性を見かけては、違うと肩を落としてきた。
はぐれたのか、去っていったのか。
イーサンはその答えを知りたかった。
答えを見つけるまでは、彼の時間は10年前のままだった。
ある昼下がり、イーサンはいつものカウボーイレストランで食事をしていた。
カランカランと音がして、家族連れが入ってくる。
10歳くらいの男の子と、両親らしきふたり。
女性は背中を向けていて、顔は見えなかった。
男の子は、カウボーイ姿のイーサンを見て、銃を撃つマネをした。
イーサンはおどけて撃たれたふりをすると、男の子は笑った。
その笑顔に、どこか見覚えがあった。
食事を終えて席を立つと、ちょうどその女性が振り返った。
目が一瞬合う。
「オリビア」
「イーサン」
ふたりは声を出さずに、心で叫んでいた。
彼女は家庭を持っているようだった。
イーサンは、話しかけることも、見ることさえもためらって、レストランを出ようとした。
その時、10歳の男の子がイーサンのところへ近づき、
「これ、落としました」とナプキンを手渡してきた。
そして、にっこり笑ってこう言った。
「ぼく、イーサンジュニアっていうの。」
――まさか。
イーサンは、静かにアシュランドの町をあとにした。


イラスト:ChatGPT

🕊あとがき
この物語は、声に出せなかった愛の記憶と、時を超えて繋がった命の奇跡を描いています。
誰かを想い続けることの切なさと尊さが、読んだ方の心にそっと届きますように。

風まかせ文芸部のお題「昼下がり」に書かせて頂きました。
素敵なお題をありがとうございます。


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