鬼ヶ島に咲いた花
🍊第55回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「鶴が残した白い羽」
🐾お題②:「鬼ヶ島に咲いた花」
⏳お題③:「山姥が守った子」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
第1話 鶴が残した白い羽

お千代は、鶴との約束を忘れてはいなかった。
最後の白い羽だけは使ってはいけないこと。
鶴は祖父母の家で機を織っていた。
「決して見てはいけない。」
その約束を破られた鶴は、鶴の姿に戻り、大空へ飛び去った。
それは、お千代が生まれるずっと前の話だった。
やがて、お千代の織る布は村一番と評判になり、都にまで名が知れ渡る。
しかし育ての親は、お千代を金と引き換えに庄屋へ売ってしまった。
お千代は、一枚ずつ白い羽を織り込みながら布を織り続けた。
そして、ついに最後の一枚となる。
「もう……これ以上は織れません。」
そう庄屋へ伝えると、庄屋は激怒した。
「注文分を仕上げるまでやめることは許さん!」
お千代は血で手を染めながら機を織り続けた。
最後の一反を織り終えた時、お千代は静かに息を引き取った。
第2話 鬼ヶ島に咲いた花
夕暮れの丘に、一人の赤鬼が座っていた。
赤鬼は、昔助けた一羽の鶴を思い出していた。
罠にかかった鶴を看病し、元気になった鶴を里へ帰したこと。
「あの鶴は、今ごろ幸せに暮らしているだろうか。」
そう思い、里へ下りる。
しかし鶴の住んでいた家は朽ち果て、人影はなかった。
近所の人から、お千代が都へ売られたこと、そして亡くなったことを聞く。
庄屋は何事もなかったように暮らしていた。
「ああ、そんな娘もおったな。」
その一言を聞いた赤鬼の胸は張り裂けそうになった。
「わしが里へ返したばかりに……。」
鬼は鬼ヶ島へ戻ると、お千代を想い、一輪、また一輪と花を植え始めた。
鬼ヶ島には、一年中枯れることのない花が咲くようになった。

第3話 山姥が守った子
ある日、一組の親子が山へ逃げ込んできた。
追っ手はすぐ後ろまで迫っていた。
母親は幼い娘を山姥に託し、そのまま帰ることはなかった。
山姥は娘を大切に育てた。
しかし追っ手は何度も現れた。
まるで、その子が生きていては困るかのように。
山姥は娘を連れ、鬼ヶ島へ渡った。

鬼は何も聞かず、二人を迎え入れた。
鬼と山姥は、本当の家族のように娘を育てた。
やがて年月が流れ、都から使者がやって来る。
「姫をお迎えに参りました。」
娘は、幼い頃に命を狙われた姫だった。
しかし娘は静かに首を振る。
「私が戻れば、また争いが起こります。」
「私は鬼と山姥と暮らす今が、一番幸せです。」
使者は涙を流した。
「では、せめて毎月、都へ文を届けてください。」
「ええ。そして都の様子も教えてください。」
その後、娘は時折都へ現れては、悪人を懲らしめた。
人々はその姿をこう呼んだ。
『おんな頭巾、都に現る。』
その噂は、たちまちかわら版で広まり、庶民の人気者となった。
おわり
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