月夜のチラ見バーガー
まえがき
夜勤の夜は、不思議なことが起こるものです。
月見バーガーを食べようとしたら…思いもよらない
“視線”を感じてしまいました。
本文
月夜のチラ見バーガー
昨夜の夜勤はナースコールが多く、いまも耳元で鳴っている気がする。
そういえば、ナースコールから戻ってきた時、私の食べかけの月見バーガーが、私を見ていた気がした。視線を感じたとでもいうのか。
他には誰もいない休憩室。漂う視線の先にあるのは、包み紙の隙間から黄身をのぞかせる月見バーガー。まるで“チラ見”でもしているようだ。
――チラ見バーガー。そう名付けてもいいぐらい。
そのチラ見バーガーも、今夜の皆既月食を見たいだろうと思い、私は半分だけ食べて窓際に置いた。
夜勤仲間が「なんで全部食べないの?」と不思議そうに聞いたから、私は答えた。
「チラ見バーガーが皆既月食を見たいだろうなって思って。ここからなら見えるでしょ。」
仲間は一瞬驚いた顔をしたが、またナースコールが鳴り、対応に追われているうちにチラ見バーガーのことも忘れてしまった。
――あ、片付けてないかもしれない。
夜勤明けで疲れた頭がふと気づき、職場に電話をかけた。
「窓際に置いたバーガー、廃棄してくれる?」
「そんなのなかったわよ。あ、包み紙はあったから片付けておくね。」
誰が食べた……チラ見バーガー?

あとがき
食べ物に魂が宿るのか、それとも疲れた夜勤の幻なのか。
“チラ見バーガー”は、きっと今もどこかで誰かを
見ているのかもしれません。
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
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