白ヘビのお守り
🍊第59回 3つのお題(世界むかし話)
🎈お題①:「白ヘビのお守」
🐾お題②:「人魚のかんざし」
⏳お題③:「雲をはこぶつばめ」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
山の奥深い村に、すずという女の子がおりました。
すずは幼い頃に親を亡くし、親戚の家を転々としながら暮らしていました。朝早くから夜遅くまで働く毎日でしたが、どんなにつらい日でも、白ヘビ様がまつられた神社へお参りを欠かしたことはありませんでした。
ある日のことです。
お参りを終えたすずの前に、白く美しいヘビが現れました。
「すずよ、お前はよう頑張っておる。」
「白ヘビ様……。」
「親を亡くし、つらい暮らしを続けておるな。このままでは、お前の体がもたぬ。」
そう言うと、白ヘビ様は小さなお守りを差し出しました。
「これは、お前を守るお守りじゃ。決して人に見せてはならぬ。」
そう言い残すと、白ヘビ様はふっと姿を消してしまいました。
すずはお守りを大切に着物の懐へしまいました。

それからしばらくたった、月の美しい夜のことでした。
お使いの帰り道、川辺で何かがきらりと光りました。
近づいてみると、美しいかんざしです。
そのそばには、一人の人魚が静かに座っていました。
「なんてきれいなかんざし……。」
すると人魚は、にっこり笑って言いました。
「そのかんざし、あなたにあげるわ。」
「えっ、どうしてですか。」
「白ヘビ様から、あなたのことを聞いていたの。このかんざしは、あなたを美しくしてくれる。でも、誰にも見せてはいけないわ。」
すずは人魚に深くお礼を言い、かんざしも大切にしまいました。

それからも、すずは毎日休むことなく働き続けました。
ある日、遠い村外れまでお使いを頼まれたすずは、幸運神社の前を通りかかりました。
ふと見上げると、一羽のつばめが雲を運んで飛んでいます。
「つばめさん、どうして雲を運んでいるの?」
「雨が降らず、畑が枯れかけておるからじゃ。雨雲を運んでおるのさ。」
「そうだったのね。ありがとう。」
すると、つばめはすずを見つめて言いました。
「お前さんが、すずじゃな。」
「どうして私の名前を知っているの?」
「もうすぐ、この道をお殿様の行列が通る。きっと水を求められる。その時、お前が泉の水をくんで差し上げるのじゃ。それだけでよい。」
すずはうなずきました。

やがて、本当にお殿様の行列がやって来ました。
「誰か、冷たい水はないか。」
家来の声を聞いたすずは、急いで泉へ向かい、冷たい水をくんで差し出しました。
お殿様は一口飲むと、たいそう喜ばれました。
「この水を持ってきた者を呼べ。」
すずはおそるおそる前へ進みました。
「そなたか。」
「はい。」
「名は何と申す。」
「すずと申します。」
「親はおるのか。」
「幼い頃に亡くしました。」
「今は誰と暮らしておる。」
「一人で働きながら暮らしております。」
お殿様はしばらく黙ってすずを見つめ、それから静かに言いました。
「つらい人生であったのう。」
「……。」
「どうじゃ。わしと一緒に城へ参らぬか。」
「私のような者が、そのような場所へ参るなど……。」
「わしは長いこと孤独であった。話し相手がほしかったのじゃ。」
そして、お殿様は優しく微笑みました。
「そなたは、まことに心の美しい娘じゃ。その優しさは誰の目にも映っておる。」
すずはしばらく考え、深く頭を下げました。
「それでは、お供いたします。」
それからというもの、すずは城でお殿様の話し相手となり、多くの人々に慕われながら幸せに暮らしたそうです。
白ヘビ様のお守りも、人魚のかんざしも、その役目を終えると、ある夜ふっと姿を消したといいます。
けれど、雲をはこぶつばめは今でも空を飛び、人々の幸せを運んでいるそうな。
めでたし、めでたし。
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