雪降る町に
いつきちゃんのアドベントカレンダーの企画参加作品
まえがき
冬のお題「雪の結晶」から生まれた物語です。
雪深い町で暮らす老夫婦の日常と、そこに静かに積もる時間の尊さを描きました。
寒い季節にこそ、心に灯る温かさがあります。
本文
ここは雪深い町。
雪はここに住む人にとって、とてもやっかいなもの。
降り積もる雪を屋根から落とす“雪下ろし”。
やっと屋根が見えたと思ったら、また降り積もり…。
そんな毎日の繰り返し。
雪をめでる気持ちすら薄らいでいく。
雪になんの責任があろうか。そういう季節なのだから。
時々、ダイヤモンドダストという、とても美しい光景を見ることがある。
寒い雪の朝に、キラキラと輝き、雪の結晶がダイヤモンドのような光を放つ。
「お前さん、温かいお茶を入れたよ。」
「あー、いつもすまないね。」
「お前さん、あと何回、この雪の結晶を見られるかね。」
「そうじゃな。多くても、少なくてもいけねぇな。」
「お前さん、それは答えになってないわよ。」
「そうか。」
二人は縁側で、ダイヤモンドのような雪の結晶を眺めるのでした。
「おっと、味噌汁を温めとった。」
「おやおや、相変わらずだな…」
おしまい。

あとがき
白い季節は、どこか人生をふり返らせます。
雪の結晶の儚さも、美しさも、ふたりにとっては“今を生きる証”。
老夫婦の何気ない会話に、静かな愛情が滲む物語となりました。
※この物語はフィクションです。
いつきちゃんのアドベントカレンダーのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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