虹色創作部「キツネが泣いた日」
虹色創作部企画参加作品
まえがき
「焚き火」というお題から生まれた物語です。
人と動物のあいだに生まれた“心のぬくもり”を描きました。
本文:キツネが泣いた日
キツネは、子どもに食べさせる食べ物を探しに、里へ下りてきました。
畑にはさつまいもがあり、キツネはひとつだけもらおうと畑に入りました。
ところがその瞬間、足に痛みが走りました。
——罠にかかってしまったのです。
痛みよりも、キツネの心を締めつけたのは、
巣で待っている子キツネのことでした。
朝方、畑の見回りに来たおじいさんが、罠の中のキツネを見つけました。
おじいさんは罠を外し、傷口に薬を塗って言いました。
「痛かったろう。わしは罠をつけるのには反対じゃったんじゃ。
でも村の皆が言うもんで、一つだけ設置してしもうた。
悪かったなぁ。お前も子どもが待っておるじゃろう。
このさつまいもを持って帰りなさい。」
キツネは頭を下げ、さつまいもをくわえて山へ帰りました。
それから毎日、キツネはおじいさんの家に通いました。
おじいさんは焚き火をし、その中にさつまいもを入れて焼き芋を作り、
「冷めたころが一番うまい」と笑いました。
キツネとおじいさんが寄り添うその光景は、
いつしか村の人たちの噂になりました。
「キツネを飼うなんて危険だ」
「そのうち村の食べ物が全部なくなる」
止める間もなく、ある夜——
村の一人が、おじいさんの家に火を放ってしまいました。
おじいさんはそのショックで帰らぬ人となりました。
それ以来、キツネは二度と里に下りてくることはありませんでした。
おじいさんの墓の前で、毎晩、ひとり焚き火をたきます。
それは、おじいさんとの思い出を忘れないための“キツネ火”。
夜の闇にゆらめくその光は、まるで涙のようでした。

あとがき
焚き火の火は、心の灯り。
それを絶やさぬように燃やし続けるキツネの姿が、
どこか人の優しさと重なります。
🏷タグ
#焚き火 #みかんの寓話 #動物の物語 #悲しくてあたたかい話 #キツネの涙
虹色創作部のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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