白い部屋
シロクマ文芸部の企画参加作品
白い部屋
眠れないまま、僕は隣で眠る彼女の寝顔を見ていた。
君はすやすやと、小さな寝息を立てている。
僕はそっとベッドを抜け出し、月明かりに誘われるようにベランダへ出た。
満月の横で、ひときわ強く瞬く星が目に入る。
吸い寄せられるように天体望遠鏡をのぞいた、その瞬間――
僕は意識を失った。
どれくらい時間が経ったのだろう。
気がつくと、僕は真っ白な部屋の中にひとり立っていた。
冷たい空気。
パジャマ姿のままなのは、僕だけだった。
彼女は――いない。
見知らぬ人々の中にも、その姿は見当たらない。
僕は困惑したまま、ただ立ち尽くす。
白髪の老人が近づいてきて、静かに言った。
「何か召し上がりますか?」
僕は首を横に振る。
「いえ……ここは、どこですか?」
老人は薄く笑みを浮かべたまま、何も答えずに立ち去った。
白い廊下を進んでいくと、やがて視界が開ける。
そこには、色とりどりの花々が咲き乱れていた。
まさか――ここは天国なのか。
どうして、僕が?
望遠鏡をのぞいたところまでは覚えている。
けれど、その先が思い出せない。
きっと、これは夢だ。
そう思い込もうとする。
目が覚めれば、また彼女の隣にいるはずだ。
――でも。
いったい、いつ目が覚めるのだろう。

シロクマ文芸部のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)