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答えは、ここに

風まかせ文芸部の企画参加作品

まえがき

答えを書け、と言われても
書けないことがある。

知らないこと。
感じたことのないこと。
言葉にしたら、嘘になること。

これは、
白紙を選んだ少年の話です。


本文

答えは、ここに

僕は道徳の授業中、
何も書けなかった。

両親について、
僕は何も知らない。

17年間一緒に暮らしてきたけれど、
書くことがないのだ。

職業を書く。

父は、パイロット。
他には、父の好きなこと。
――不明。

話したことがないから、
僕は父のことを知らない。

他人の、
管理人のおじさんのことの方が詳しい。

母は、看護師。
家にいる時は、
寝ているか、飲んでいるか。

僕の食事は、
いつもデパートの惣菜。
母は食べない。

僕だけ、
生きるために食べている。

母の性格。
よくわからない。

話すことがないから。

僕は小さい頃から、
両親に甘えた記憶がない。

お金は、
いつもたくさんある。

でも、
満たされない心は、空っぽだ。

道徳の授業が終わる。

僕は、
白紙のまま提出する。

これが、
僕の両親への答えだから。


イラスト:ChatGPT

あとがき

書かなかったことにも、
答えはある。

語れない関係。
埋まらない距離。
満たされなかった時間。

白紙は、逃げではなく、
正直な返事なのかもしれません。

答えは、
書かれた言葉の中だけに
あるわけではない。

白紙の中にも、
確かに存在している。

そう思いながら、
この物語を書きました。
※この物語はフィクションです。

風まかせ文芸部のお題に書かせて頂きました。
iさん、お題をありがとうございます。


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