虹色の切符
🍊第48回 3つのお題(ファンタジー)
🎈お題①:「深夜0時の観覧車」
🐾お題②:「空とぶ喫茶店」
⏳お題③:「虹色の切符」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
子どもの頃、空想の世界が本当にあると信じていました。
夜中に現れる観覧車。空を飛ぶ喫茶店。
そんな話を、僕は大好きなおばあちゃんによく聞かせていたのです。
大人になるにつれて、いつしか空想することを忘れていました。
けれど、机の引き出しの奥で眠っていた一枚の切符が、止まっていた時間をもう一度動かしてくれました。
虹色の切符
僕はおばあちゃんから、虹色の切符をもらった。
最近まで、そのことをすっかり忘れていた。
机の引き出しにしまわれたまま、長い年月が経っていたのだ。
僕は小さい頃、空想が大好きな子どもだった。
思いついたお話を、おばあちゃんにいつも聞いてもらっていた。
第1話 深夜0時の観覧車
「夜中になると現れる観覧車があるんだよ。」
僕がそう言うと、おばあちゃんは笑いながら聞いてくれた。
「おや、それからどうなるんだい?」
「その観覧車はね、仕事に疲れた人や、生きるのに疲れた人が乗るんだ。僕はまだ乗らないよ。」
「それで?」
「ゆっくり観覧車が動いてね、乗ってる人たちの疲れた心が、少しずつ元気になるんだ。」
おばあちゃんは、優しくうなずいた。
「それはよかったね。しんちゃんはえらいよ。」
「うん。僕ね、疲れた人を元気にしたいんだ。」
「うん、しんちゃんはきっとできるよ。」
その言葉が、僕は嬉しかった。

第2話 空飛ぶ喫茶店
「空を見上げると、空飛ぶ喫茶店が見えるんだよ。」
「どうすれば見えるんだい?」
「願うんだよ。美味しいものが食べたいって。」
「そうしたら出てくるのかい?」
「うん。食べたいものや飲み物が出てくるんだ。」
おばあちゃんは少し笑った。
「あら、それは、しんちゃんが食べたいものなんじゃないかい。」
「えへへ。おばあちゃんなんでも知ってるね。」
「おばあちゃんも、空飛ぶ喫茶店に行けるかね?」
「もちろんだよ。僕も一緒だよ。」
窓の外の空を見ながら、僕たちはそんな話をして笑っていた。

第3話 虹色の切符
大好きだったおばあちゃんは、僕が十歳の時に天国へ行った。
おばあちゃんは最後に、僕へ虹色の切符を渡してくれた。
「空想は忘れちゃいけないよ。この切符はね、いつでも空想の世界へ行ける切符だから。」
そう言って、僕の手にそっと握らせてくれた。
僕は長いこと、空想の世界を忘れていた。
仕事や毎日の暮らしに追われ、わくわくする気持ちも、どこかへ置き忘れてしまっていたのかもしれない。
けれど、引き出しの奥から見つけた虹色の切符を手にした時、ふと思った。
楽しかったこと。
胸を躍らせていた頃の気持ち。
あの頃の空想の世界は、今もまだ消えていないのかもしれないと。
僕はそっと、虹色の切符を握りしめた。

あとがき
大人になると、空想することを忘れてしまう時があります。
けれど、本当は誰の心の中にも、小さな空想の世界が残っているのかもしれません。
疲れた時、立ち止まった時、少しだけ空を見上げてみる。
すると、深夜0時の観覧車や、空飛ぶ喫茶店が見えることもあるのかもしれませんね。
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