見出し画像

まさかの優勝!

せりふ三題噺の企画参加作品

まえがき

会社の慰安旅行。
温泉、宴会、カラオケ大会。

そして、まさかの賞金10万円。

人はお金に弱い。
でも、本当に欲しかったのは、もしかすると——。

そんな夜のお話です。


まさかの優勝!

会社の慰安旅行で、とある温泉地に来ていた。

湯船にゆっくり浸かり、部屋に戻って鏡の前に座る。
化粧をしながら、頬骨のへこみが少し気になった。

まあ、顔は変えられない。

隣で髪を乾かしていた同僚の喜和子が言った。

「ねえ、知ってる? 今から余興があるんやて。賞金も出るらしいで。」

「賞金て、いくらくらい?」

「確か……10万円。」

「そんなにもらえるん?」

私たちは緩めのボトムスに着替えて、会場へ向かった。

宴会場は、ほぼ全社員が集まり、ざわざわしている。

部長がマイクを握った。

「えー、皆様。本日は大いに飲んで、食べて、楽しんでください。
それと、余興にご参加いただける方は申し出てください。
高得点の方には賞金10万円を贈呈します。」

会場が一気にざわついた。

喜和子が、横から肘でつつく。

「あんた、出てみたら? 千載一遇のチャンスやないの。」

私は、10万円という数字に心を奪われていた。

「これしか勝たんのよ。」

自分でも驚くほど、小さな声でつぶやいていた。

カラオケ大会が始まる。

高得点が次々と出る。
笑い声があがり、会場は大盛況。

そして、私の番が来た。

なぜか私は、パジャマ姿のままステージに立っていた。

選んだ曲は——
「パジャマの天使」。

歌い始めた瞬間、会場はキョトンとした空気に包まれる。
誰も聴いたことのない歌。

でも、不思議なことに、
サビに入るころには手拍子が起こり、
最後はなぜか、大合唱になっていた。

私は、もう賞金のことなど忘れていた。

ただ、歌うことが楽しくて仕方なかった。

そして、出た点数は——100点。

一瞬、会場が静まり返る。

次の瞬間、爆笑と拍手が巻き起こった。

部長がマイク越しに言った。

「……これは、なんというか……新しい。」

喜和子が耳元でささやく。

「あんた、やっぱりそれしか勝たんのよ。」

私は、頬骨のことも、10万円のことも忘れて、
ただ、笑っていた。

温泉の夜は、賑やかにふけていった。

イラスト:ChatGPT

※ちなみに「パジャマの天使」は、実在します。
気になる方は、ぜひ聴いてみてください。


あとがき

賞金よりも、
見た目よりも、
人の評価よりも。

結局、最後に残るのは——

自分が楽しかったかどうか。
※この物語はフィクションです。

せりふ三題噺に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。


いいなと思ったら応援しよう!

片桐 みかん よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)