もう一度だけ会えるなら
🍊第44回 3つのお題(ファンタジー)
🎈お題①:「星くずが降る駅のホーム」
🐾お題②:「夜を集める古いポスト」
⏳お題③:「もう一度だけ会えるなら」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
もう一度だけ会えるなら
もう一度だけ会えるなら、
私は悪魔と取引してもいい。
そんな言葉を、星くずが降る駅のホームでつぶやいた。
無人のはずの駅。
なのに、どこからか声が聞こえた。

「夜を集める古いポストに行きなさい。
そこに手紙を出すのじゃ。」
夜を集める古いポスト――
どこかで聞いたことがある気がする。
記憶の引き出しを無造作に開けて探す。
「小高い山の中腹にある。行くのじゃ。
もうすぐ夜が明ける。」
また、声がした。
気づけば、足が動き出していた。
まるで導かれるように。
星くずが降る駅のホームから、
歩いて三十分ほど。
そのポストは、ひっそりとそこにあった。

古びた赤いポスト。
夜を吸い込むように、静かに佇んでいる。
手紙――
私はそんなもの、持っていない。
どうしよう。
そう思った瞬間、
ポストの口がわずかに光り、
中から便せんと封筒が現れた。
夜が明けるまでに――
会いたい。
もう一度だけ。
そして、伝えたい。
「ごめんなさい」と。
震える手で、便せんに言葉を綴る。
――もう一度だけ会いたい
短い言葉。
それでも、すべての想いを込めた。
やがて、夜が明けていく。
手紙は、そっとポストに吸い込まれた。
光とともに、消えていく。
もう一度だけ会えるなら――
あの場所で。
もう一度だけ。

🍊あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回のお話は、「3つのお題に空想のひらめきを」から生まれた物語です。
「もう一度だけ会いたい」
「ごめんなさいと伝えたい」
そんな想いは、きっと誰の中にもあって、
でも、なかなか言葉にできないものかもしれません。
この物語が、読んでくださった方の中の
小さな記憶や、やさしい気持ちに触れることができたなら、
とても嬉しく思います。
また次の空想のひらめきで、
お会いできたら嬉しいです。
片桐みかん🍊
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