不思議な手帳
風まかせ文芸部参加作品
まえがき
古い手帳を手にした瞬間、なぜか胸の奥が
ざわめくことはありませんか?
今回は、蚤の市で見つけた一冊の手帳が導く、
不思議で少し切ない物語です。
本文:不思議な手帳
蚤の市で、古い皮の手帳を買った。
紙も黄ばんでいて、なんとなく匂う。
でも、なぜかその手帳にひかれた。
どこに行くでもその手帳を持ち歩いた。
ある日、メモをとるものがなく、あの手帳にメモを残した。
家に帰り、手帳を開くと、返事が書いてあった。
僕は、「明日9時日比谷公園」と書いた。
手帳には「明日の天気は雨、傘を忘れないで」とあった。
そんな馬鹿なと思ったが、また手帳に書いてみた。
「8月15日、実家に帰省」
しばらくして手帳を開くと、「この日は混雑が予想されますので、
電車がよい」と。
僕は手帳に書くことが楽しくなった。
毎日、手帳に予定を書くようになった。
1年後、最後のページになった。
手帳はもともと古かったので、紙は少し破れていた。
そこへ、「最後になったけど、これまでありがとう。
書けなくなっても、僕は大事にするよ。」
しばらく待っても、手帳には何も書かれていなかった。
最後のページだったからスペースがなかったのかもしれないと僕は思った。
次の朝、僕は手帳をカバンに入れようとした時、
1枚の紙がスルスルと床に落ちた。
そのページには、「これまでも、これからも…」
最後の文字は消えていて、わからないままだった。
僕はまだ、あの手帳を持っている。

あと書き
もし、こんな手帳があったら、あなたは何を書きますか?
未来への願い、過去への謝罪、それとも誰にも言えない秘密でしょうか。
ページは限られていても、言葉はきっと、時を超えて生き続けます。
風まかせ文芸部のお題「手帳」に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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