あの日の記憶のまま
せりふ三題噺の企画参加作品
タイトル:あの日の記憶のまま
「待っててね」
そう言ったまま、君は僕の記憶の中に残った。
僕らは会社の夜桜の場所取りのため、ここに来ていた。
名札をつけたまま、うれしそうにはしゃぐ君。
そんな君を、僕は少し離れて見ていた。
僕の恋は、いつも片想いのまま。
だけど、君となら——
アップグレードされた、本物の恋ができるかもしれない。
そんなふうに思っていた。
そのときだった。
車のブレーキの音。
悲鳴。
——そして、すべてが止まった。
あの日の記憶を消せないまま、
僕はまた、この場所に来ている。
君はあの頃のまま、ここにいる。
そんな気がしてしまうんだ。
元気だったかい。
僕はまだ、恋人もできないままだ。
……笑ってるのかい?
そうさ。
君のことを、思い出してる。
桜の花が、はらはらと落ちていく。
まるで、僕の気持ちをからかうように。
あの日のままの記憶のまま。
また僕は、来年もここへ来るのだろうか。
君を探しに。

せりふ三題噺のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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