夜の遊園地
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
まえがき
夜になるとひっそりと灯りがともり、
不思議な客たちが集まる“夜の遊園地”。
昼とはまったく違う顔を見せる、秘密の場所です。
今夜も、仕事帰りの大人たちや、
塾帰りの少年たちが吸い寄せられるようにやってきます。
この遊園地には、噂の「合戦バー」もあるそうで……。
本文
ここは夜になると開く遊園地。
お客はさまざま。仕事帰りのサラリーマンに、教師、塾帰りの高校生。
たまに、オフィスレディも一人でやってくる。
「おばさん、ビールちょうだい」
「つまみはポテトチップでいいかい?」
「あ、太るからいらない」
「おやおや、身体に悪いよ」
「そこの塾帰りの坊やたち、タコ焼き食べていくかい?」
「うん。…おい、お金持ってる?」
「いや、お前は?」
「ない」
「はいはい、お代は出世払いでいいよ」
「おばさん、今夜ここで“合戦バー”の世界大会があるって聞いてきたけど、知ってる?」
「ああ、もちろん知ってるよ。今夜は江戸時代から招待しているらしいよ」
「江戸時代?誰だろう?織田信長?明智光秀とか?」
「おやおや、あんたたち現役高校生だから歴史に強いねぇ。
でもねぇ、あんたたち、江戸時代にはもうその人たちいないよ。
テストに出てたらアウトだよ。やっぱり勉強って大事だな」
「あー、始まるよ。あれって早押しみたいなゲームだね」
「…あ、多分あの人、教科書で見たことある。坂本龍馬じゃない?」
「じゃあ、もう一人は?」
「なぁ、誰だっけ。おばさん知ってる?」
「…あれは、私の元旦那だよ」
「えーー…」
「あ、ごめんごめん」
お姉さんは、坂本龍馬のいるテーブルへ向かっていった。
さて、あのお姉さんと坂本龍馬の“合戦バー”、勝敗はどうなる!
夜の遊園地——あなたも、覗いていませんか?
どこにあるかって?
それは……あそこの角を曲がったところだよ。

あとがき
現実の世界ではなかなか出会えない人たちが、
夜の遊園地では当たり前のように並んで座り、
笑いながらビールを飲んでいます。
夢と現実の境目がほどけていくような、
そんな不思議な夜の物語でした。
またどこかで、この遊園地の続きが開くかもしれません。
その時は、ぜひ覗きに来てくださいね。
※この物語はフィクションです。
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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