シュークリームな恋
アマノ文筆クラブ企画参加作品
まえがき
職場復帰の日に持って行った差し入れのシュークリーム。甘い香りとともに広がるのは、まだ告白もしていない淡い恋心…。さりげない一瞬の出来事から始まる「シュークリームな恋」をお楽しみください。
本文:シュークリームな恋
裕子は長期休暇で休んでいた。やっと体調も戻り職場に復帰することになり、洋菓子店でシュークリームを買って出勤した。
同僚たちは優しく迎えてくれ、裕子は胸をなで下ろす。だが心の中では、翔平くんの姿を探していた。
「今日は私用で遅れるらしいよ。」と誰かが教えてくれた。
休んでいた間、裕子はずっと翔平くんのことを思っていた。
まだ告白もしていない淡い恋。彼の気持ちはわからないままだ。
残ったシュークリームを冷蔵庫にしまう時、抹茶味がひとつ残っているのを見て、裕子は小さく微笑んだ。翔平くんの好きな味だった。
箱を閉じようとした瞬間、誰かとぶつかり、シュークリームが床に落ちた。慌てて拾おうとした手が、別の手とぶつかる。
顔を上げると、そこにいたのは翔平くんだった。
裕子の顔は一瞬で真っ赤になる。
「ごめん、裕子が戻ってきたって聞いたから、来てみたんだ。元気だった?あ、病気療養中だったっけ。これからは我慢するんじゃないぞ。俺がついてる。」
そう言って笑い、抹茶のシュークリームを手に取る。
「これ、俺にだろ。もらっとくぜ。」
そう言って仕事に戻っていった。
裕子の胸の中で「俺がついてる」という言葉が繰り返された。
――それは、私に関心があるということ?
裕子は、シュークリームのように甘い恋心をそっと味わった。

あとがき
差し入れのシュークリームをきっかけに心が動き出す…。ちょっとした日常の中に、恋のきらめきは潜んでいるものですね。みなさんにも、そんな「シュークリームな恋」が訪れますように。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
アマノ文筆クラブのお題に書かせて頂きました。
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