月に帰れなかったかぐや姫
🍊第38回 3つのお題
🎈お題①:「月に帰れなかったかぐや姫」
🐾お題②:「七つ目の井戸」
⏳お題③:「風を集めるおばあ」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
もし、かぐや姫が月に帰らなかったら——。
そんな空想から、この物語は始まりました。
待つことは、弱さでしょうか。
それとも、強さでしょうか。
七つ目の井戸を探しながら、
私もまた、見えない何かを探しているのかもしれません。
本文
竹林の中の古い民家に、美しい娘が住んでいたという。
娘は、かぐや姫と名付けられ、
おじいさんとおばあさんに大切に育てられていた。
しかし、幸せは長くは続かなかった。
おじいさんは突然病に倒れ、
おばあさんもその後を追うように亡くなった。
かぐや姫は、ひとりになった。
その美しさはやがて都にまで知れ渡り、
「嫁にしたい」と申し出る若者が次々と現れた。
だが、かぐや姫は迷っていた。
ある日、山の奥に住む
風を集めるおばあのもとを訪ねた。
「私は、どの方と結婚したらよいのでしょう。」
おばあは、静かに風を束ねながら言った。
「七つ目の井戸を探した者にするんじゃ。」
「七つ目の井戸……?」
「ある。だが、すぐには見つけられぬ。
それほどの井戸を見つける者であれば、
お前の伴侶にふさわしい。」
かぐや姫は若者たちに告げた。
「七つ目の井戸を探してきてください。」
だが、誰ひとりとして見つけることはできなかった。
井戸は六つまでしか、見つからない。
時は流れても、
かぐや姫は歳を取らなかった。
月からの使者が迎えに来ても、
彼女はこう答える。
「伴侶を見つけるまで、お待ちください。」
やがて人々は、彼女をこう呼ぶようになるだろう。
——月に帰れなかったかぐや姫、と。
七つ目の井戸は、いずこ。
それは地の底か、
人の心の奥か。
それとも——
まだ、誰にも見えていないだけなのか。

あとがき
七つ目の井戸は、もしかすると
「本当に大切なもの」を見つける力なのかもしれません。
急いで見つけられるものではなく、
欲しいと思うだけでは辿り着けないもの。
かぐや姫が月に帰らなかったのは、
まだ物語が終わっていないから。
私たちもまた、
それぞれの七つ目の井戸を探しながら
今日という夜を生きているのだと思います。
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