ネオン街に暮らす猫
シロクマ文芸部の企画参加作品
まえがき
夜に降るのは、雨ではなくネオンの光。
華やかな街の明かりの下で、
ひっそりと暮らす親子の猫がいます。
人のざわめきの裏側で生きる小さな命を、
そっと見つめてみました。
本文
夜に降るネオンの灯りを見つめる、親子の猫がいた。
賑やかな路地を入ると、人が寄りつかない薄暗い場所。
そこに、親子の猫は暮らしていた。
食べ物には困らない。
料亭の外には、新鮮な食材が山のように捨てられている。
母猫は、今夜の食事に天然ものの鯛を選んだ。
子猫には、骨の少ない部分だけを分けてやる。
バタンと大きな音がして、親子の猫は驚いた。
人間が店の外に放り出された音だった。
明るいネオン街とは違い、ここは暗闇の世界。
けれど、親子の猫が暮らすには適していた。
昼間は人通りもなく、
カラスがゴミの周りをうろつき、
道路には紙くずや生ゴミが散乱している。
酔っ払いが道端で眠り、
親子の猫に関心を持つ者など誰もいない。
夜のとばりがおり、
今夜もネオンの灯りに誘われて、人間たちがやってくる。
そして、猫の親子の夜が始まる。

あとがき
ネオンの光は、街を飾るためにあるけれど、
その下にも、小さな命たちの営みがある。
派手な光があっても、猫たちの世界は静かで、確かだ。
夜に降る光のひとしずくが、
親子の猫の明日を、少しだけ照らしてくれますように。
シロクマ文芸部のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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