見出し画像

約束の朝

クリスマスは片想い文芸部の企画参加作品

まえがき

クリスマスは、誰かと過ごすためだけの日ではありません。
それでも、誰かを想って迎える夜は、少しだけ特別になります。
これは、そんな聖夜(クリスマス)に生まれた、ひとつの恋の物語です。


本文

聖夜(クリスマス)は、いつも一人で過ごしていた。
一人でもいい、そう思っていた。

でも、今年は違った。
彼ができたから。

彼とは遠距離恋愛だった。
頻繁には会えないけれど、その距離さえ、愛を深める時間のように感じていた。
いつか二人で暮らせる、そんな日を夢見ていた。

クリスマスは一緒に過ごそう。
そう約束した、その朝。

彼は来なかった。

仕事の都合がつかなかったのだと、自分に言い聞かせた。
仕事も休み、料理も用意して、ただ彼を待った。
けれど、連絡はない。既読にもならない。

気づけば、ふくらんでいたのは私の気持ちだけだった。
やっぱり、片想いだったんだ。

今年のクリスマスイブは、二人で過ごしたい。
そんな願いは、むなしく砕け散った。

電話が鳴った。
彼からだと思った。

でも、それは彼の友だちだった。
震える声で告げられた。

「彼が、事故で亡くなりました。
あなたに会いに行く途中だったそうです」

私は、彼の葬儀に出席した。
帰り際、彼の両親から、私宛ての手紙を渡された。

封筒の中には、
指輪が二つ、入っていた。


イラスト:ChatGPT

あとがき

想いが同じでも、
同じ時間を生きられないことがあります。

届かなかった言葉も、
果たされなかった約束も、
それでも確かに、そこにあった恋。

この物語が、
誰かの静かな聖夜(クリスマス)に、
そっと寄り添えたなら嬉しいです。
※この物語はフィクションです。

クリスマスは片想い文芸部のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。


いいなと思ったら応援しよう!

片桐 みかん よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)