おはようの風に乗って 321
【夏の小さな景色】
夏になると思い出す景色があります。
四つ葉のクローバーを見つけて大はしゃぎした日。
朝の海で見上げた二つの虹。
風鈴の音と、縁側で食べた冷えたスイカ。
突然の夕立にびしょ濡れになった帰り道。
線香花火の小さな光。
鳴き忘れたように響く蝉しぐれ。
そして、夕焼けに染まった青春の帰り道。
どれも特別な出来事ではないけれど、今でも心の中に残っている、夏の小さな景色です。
この一週間は、そんな夏の思い出を一日一つずつ綴っていきます。
読んでくださる皆さんの心にも、それぞれの「夏の小さな景色」がそっとよみがえりますように。
夏の小さな景色⑦ 夕焼けの帰り道
部活が終わり、夕焼けに染まる帰り道。
「ちょっと待って。」
呼び止められて、一通の手紙を渡された。
「これ、お願い。」
差出人を見ると、私の友だちの名前。
「私に渡せっていうこと?」
そうつぶやきながら、大切に手紙を握りしめた。
翌日、その手紙を友だちに渡すと、彼女は何も言わず、目に涙をためていた。
あの夕焼けを見るたびに、あの日の小さな約束を思い出す。

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