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万年筆の反乱

風まかせ文芸部の企画参加作品

まえがき
明治時代に活躍した文豪・葛城文彦。
彼の書斎は今もそのままの姿で保存されている。
この物語は、葛城の愛した“万年筆たち”が、
ある日ひそかに起こした反乱の記録である——。


本文
ここは明治時代に文豪として世に知られた葛城文彦の書斎。
葛城の書斎は、当時のまま保存されている。

彼は「万年筆オタク」としての顔も持っていた。
しかし、万年筆たちの“戦争”の話を知る者は少ない。

葛城が万年筆オタクと呼ばれる理由を説明しよう。
彼はスランプになるたびに、万年筆を変えた。
その数は、現存するだけでも百本を超える。
つまり、百回以上スランプに陥ったということになる。
それでも、明治の世に名を馳せた文豪には違いなかった。

そんな万年筆たちは、やがて自分たちの主張を認めてもらうために、
“労働組合”を結成した。

初代会長は、葛城がもっとも愛用した一本の万年筆。
しかし彼は、組合と葛城の板挟みとなり、
晩年には心を病んでいったという。

葛城がベストセラー作家となり、
念願の書斎を持つようになると、
万年筆たちは彼に使ってもらおうと
あの手この手で誘惑を仕掛けた。

いつしか葛城は、この書斎で仕事をすることをためらうようになった。
そしてついに、万年筆たちは反乱を起こし、
書斎への立ち入りを拒んだのである。

仕方なく葛城は、一本の万年筆だけを持ち出し、
近くの喫茶店で執筆を始めた。

しかし、その噂を聞きつけたファンたちが押し寄せ、
喫茶店でも落ち着けなくなってしまった。

やがて葛城は万年筆たちと和解し、
再び書斎に戻ることになった。

ただし、和解の条件というのは——

葛城の著作に書いてあるので、お買い求めください。


イラスト:ChatGPT

あとがき
このお話は、書斎という小さな世界の中で起きた“大きな戦争”。
道具に魂が宿るとき、人とモノの関係は逆転します。
書く者にとって、万年筆はただの道具ではなく、
ときに“言葉の神様”そのものなのかもしれません。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・出来事とは関係ありません。


風まかせ文芸部のお題に書かせて頂きました。
iさん、お題をありがとうございます。


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