僕の夢をのせて
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
まえがき
夢を追いかけていた頃の部屋は、
たいてい狭くて、
なぜか洗濯機と冷蔵庫がやけに存在感を放っていました。
あの頃の僕たちは、
不安と希望と、
少しの無謀さを一緒に抱えていた気がします。
これは、
そんな部屋から生まれた
ちょっと不思議な話です。
僕の夢をのせて
僕はミュージシャンを目指して上京した。
自作の曲をギターで作り、
デモテープに吹き込んでは、音楽会社に送る。
そんな毎日を、ただひたすら繰り返していた。
狭い1Kのアパート。
部屋にあるのは、洗濯機と冷蔵庫。
それだけの空間やったけど、
そこには確かに、夢が詰まっていた。
ある日、いつものように曲を作っていると、
ふいに声がした。
「……あたいらの曲も作って」
誰もいないはずやのに。
気のせいやと思って、僕はまたギターを弾いた。
すると今度は、はっきりと。
「なぁ、歌、作ってよ」
やっぱり聞こえる。
どんな歌がいいの?と、思わず聞き返すと、
「ギター式洗濯機は?」
僕は思わず笑った。
でも不思議なことに、
その瞬間、歌詞とメロディーが一気に浮かんだ。
僕は、その曲を作った。
そして、送った。
結果、僕の曲は三次選考まで残り、
ついに呼ばれたんだ。
あの有名なスタジオに。
僕は歌う。
ギター式洗濯機。
もうすぐ、YouTubeで流れるよ。(396字)

あとがき
夢は、
立派なスタジオや大きな舞台からだけ
生まれるわけじゃない。
狭い部屋の片隅で、
洗濯機の横で、
誰にも聞こえないはずの声に
耳を澄ました時に、
ふっと生まれることもある。
もし今、
夢が少し遠くに感じている人がいたら、
あなたのそばの「洗濯機」も、
何か言いたがっているかもしれません。
今日も、
どこかで誰かの夢が回っています。
※この物語はフィクションです。
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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