間に合う、それだけ
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
まえがき
お題「カウントダウンする脈拍」から生まれた物語です。
人は、どんなに遠く離れていても、
心の奥ではつながっているのかもしれません。
最後の一瞬に間に合う——
それだけで、人生は救われることがあるのです。
本文:間に合う、それだけ
「お父さんが危篤です」
母の声が震えていた。
私は慌てて、ネットで飛行機の空席を探した。
ゴールデンウィークで、どの便も満席。
空席待ちをするしかなかった。
父と私は、大学を決める時からいがみ合うようになり、
卒業しても実家には戻らなかった。
電話をすることもなかった。
母だけが、時折、父の近況を知らせてくれた。
病気で入院していることは知っていた。
でも、帰る勇気がどうしても出なかった。
——会いたい。
最後に一言だけ、伝えたい言葉がある。
空席が出て、私は飛行機に乗った。
病院に着いた時、
カウントダウン脈拍するように、
ゆっくりと、ゆっくりと刻まれていた。
「お父さん、ごめんなさい。」
そう伝えると、父はゆっくり目を開け、
かすれた声で言った。
「お前は……私のようだった。
すまんかった。許しておくれ。」
その言葉とともに、
父は静かに息を引き取った。
遺品整理の中で、私はたくさんの手紙を見つけた。
差出人は父。
そこには、季節の移ろいや、
私の体を気遣う優しい言葉が綴られていた。
(435字)
あとがき
人生には、どうしても“間に合わない”と思う瞬間があります。
けれど本当の間に合うとは、
**「心が通い合うこと」**なのかもしれません。
父の最後の言葉が、私の心を救ってくれたように、
人は誰かの中で生き続ける。
それは、カウントダウンの先にある“永遠”のようでした。
※この物語はフィクションです。
🕯タグ
#カウントダウンする脈拍 #家族の物語 #父と娘 #赦し #みかんの掌編 #心に灯る物語
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
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