隠した心の裏側に
🍊第35回 3つのお題
🎈お題①:「二度と会えない約束」
🐾お題②:「最後に一つだけ叶う願い」
⏳お題③:「名前を失った星」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
3つのお題から、ひとつの物語が生まれました。
「二度と会えない約束」
「最後に一つだけ叶う願い」
「名前を失った星」
正解のないお題に向き合いながら、
浮かんできた情景を、そのまま言葉に置いています。
心の奥に残っていたものを、そっと掘り起こすように。
静かな夜の物語です。
隠した心の裏側に
アフリカの夜は寒い。
日中とは違い、肌を冷たく冷やしていく。
俺は彼女との約束を果たせないまま、ここに来ている。
最後に一つだけ叶う願いを、この場所に埋めるために。
彼女とは会わない。
そう約束した。
二度と会えない約束を。
流れ星が光る。
名前を失った星が落ちた。
俺は、これからどう生きるんだ。
かけがえのない彼女を失い、
このアフリカの大地で。
来世も、もし彼女に出会えるなら、
俺は人間でなくてもいい。
そんな言葉を、押し殺すように吐いた。
「何をつべこべ言ってるんだ。
あんさん、彼女のことより、自分を選んだんやないんですか?」
俺は、声なき声を聞いた。
「あんさん、死ぬ気でぶつかったんですか?
あー、その顔。彼女にも、周りにも、ええ顔したんやな。
図星でっしゃろ。」
俺は、声なき声に問い返す。
俺は何を怖がっていたんだろう。
彼女を失うこと。
自分を失うこと。
どちらに錘を置いたんだろう。
アフリカの、今にも星が落ちてきそうな夜に、
眠れない一夜を過ごした。
今、俺は、空港に降り立った。

あとがき
答えのないまま、物語は終わります。
けれど、終わりではなく、
「動き出す直前の一瞬」を切り取ったつもりです。
選ばなかった道、
守れなかった約束、
それでも前に進もうとする気配。
星に名前がなくても、
願いが叶わなくても、
人は歩き続ける。
そんな夜を、書き留めました。
※この物語はフィクションです。
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