押し活と串カツ、どっちにする?
アマノ文筆クラブの企画参加作品
まえがき
「押し活と串カツ、どっちにする?」
そんな何気ない会話から、
お昼ご飯の行き先が決まりました。
選ぶ理由は、
たいしたことじゃなくていい。
ただ、
ちょっとワクワクする方へ。
本文
押し活と串カツ、どっちにする?
「なぁ、昼ご飯何にする?」
「私、串カツがいい」
「私は、とんかつ」
「僕は、押し活がいいです」
「……何?その押し活」
「知らないですか?
最近、駅の近くにできた、押し活専門店です」
「それ、食べ物あるの?」
「はい、もちろん。
昭和のかおり漂う、駅前食堂です。
おすすめは……行ってからのお楽しみです」
ガラガラと食堂の扉を開けると、
そこは昭和にタイムスリップしたみたいだった。
壁には、ボンカレー、オロナミンCのポスター。
四人がけのテーブルが四つ。
カウンター席が五席。
こじんまりとした店内に流れる曲は、
村田英雄の「夫婦善哉」。
「わー、こんな所あったんやね」
「でも、私、なんか好きかも」
マスターがお水を運んでくる。
メニューを見ると、
そこには大きく「押し活」と書かれていて、
昭和の歴代スターの名前が並んでいた。
三橋美智也の一押し、オムライス。
三波春夫の一押し、カツカレー。
そして、押し活一番人気は、
美空ひばり一押し、チキン南蛮。
それぞれの「推し活メニュー」を注文し、
黙々と食べる。
どれも、
どこか懐かしくて、
やさしい味がした。
帰り際、
マスターが割引券を一枚くれた。
そこには、こう書かれていた。
「押し活と串カツ、どっちにする?」
僕らは、
この店の常連になった。
おしまい。

あとがき
押し活も、串カツも、
どちらも心とお腹を満たしてくれるもの。
迷ったときは、
両方選んでもいい。
そんなことを教えてくれる、
昭和の香りがする食堂でした。
※この物語はフィクションです。
アマノ文筆クラブのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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