乙姫様の相談室
🍊第56回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「乙姫様の相談室」
🐾お題②:「天狗の飛行教室」
⏳お題③:「浦島太郎スマホ買う」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
昔話の主人公たちも、毎日いろいろあるようです。
恋の相談を受ける乙姫様。
空を飛ぶ練習に励む天狗たち。
そして、時代の波に乗ってスマホを買いに来た浦島太郎。
もし昔話の世界が今も続いていたら…。
そんな空想から生まれた、ちょっぴり笑える物語です。
第1話 乙姫様の相談室<パート1>
今日も乙姫様の相談室には長蛇の列ができています。
恋の悩みを抱えた人たちが、乙姫様の言葉に耳を傾けます。
「乙姫様は、今までどれくらいの人とお付き合いされたのですか?」
「そうねぇ。数えたことはないけれど、千人くらいかしら。」
「うわーーーー! 千人も!」
「で、その恋は成就しましたか?」
「してたら、相談室なんぞしてないわ。」
「おっしゃる通り。」
今日も、いろんな悩みを抱えた人たちがやって来ました。

第2話 天狗の飛行教室<パート1>
「さぁ、飛ぶのにこつはいらん!
自分には飛べるという強い気持ちがあれば飛べるのじゃ。」
「気持ちが弱いと、どうなるんですか?」
「落ちるに決まっておる。」
「落ちたら怪我するじゃないですか。」
「怪我が怖くて、天狗はやってられまへん。」
……。
誰も飛ぼうとしません。
「今日は終わりじゃ。
乙姫様の相談室へ行って相談してくるんじゃ。」
第3話 浦島太郎、スマホ買う<パート1>
浦島太郎は、竜宮城で話題のスマホを買いに来ました。
きれいなお姉さんが最新機種を説明しています。
でも、浦島太郎は説明より、お姉さんの顔ばかり見ています。
「あの、お姉さん。
電話番号教えてくれへん?
最初に登録したいねん。」
「申し訳ありません。
それはできかねます。」
「そんな固いこと言わんと、おたのもうします。」
その時。
「あいたたた!」
誰かが浦島太郎の耳を引っ張りました。
「スマホ買いに来て、ナンパしてどないすんねん。」
「そやかて、かわいい子見たら、あんさんかて。」
「最初の登録なら、わてにしときなはれ。」
「いや、おばはんはいらん。」
「なんやて!
ちょっと前までは、いかしてたんやで。」
「いつの時代や。」

第4話 乙姫様の相談室<パート2>
今日は天狗の子どもたちが大勢やって来ました。
「どないしたん?」
「師匠が、ここへ相談に行ったらええって。」
「何の相談?」
「飛べるようになりたい。」
「うちは恋の相談専門やで。」
「やっぱり、あきまへんか?」
「しゃあないな。
で、なんで飛べないの?」
「落ちたら死ぬ。」
「そうか。
人生は一度きりや。
でも命は大事や。」
少し考えてから、乙姫様は言いました。
「ほな、飛べない天狗になりなはれ。」
「飛べない天狗、なんかかっこ悪い。」
「ほな、かっこよく飛んでみるか?」
「うん!」
第5話 天狗の飛行教室<パート2>
「今日は天気もええし、飛行テストをするぞ!」
昨日まで「怖い」と言っていた天狗たちが、今日は元気に空を飛んでいます。
「えっ!
乙姫様の相談室へ行ったら飛べるようになったんか。」
師匠は感心しました。
「わしも相談に行こうかな。」
「もう飛べてますやん。」
「いや……その他の理由で。」
「え、まさか……
スマホ売り場の、あのおばはんに?」

第6話 浦島太郎、スマホ買う<パート2>
浦島太郎はスマホの楽しさにはまりました。
毎日、朝から晩まで画面を見続けた結果――
ただ今、眼科に通院中です。
スマホは没収されました。
「なぁ、スマホ返してくれへん?」
「あきまへん。
これ以上見続けたら、仕事にも支障が出ます。」
「まだ友だち登録したんは、あのおばはんだけや。」
「きれいなお姉さんと遊びたいねん。」
「視力が三・〇まで回復したら返したる。」
「え?
もともと視力いくらやったん?」
今日も竜宮城のスマホ売り場は大賑わい。
さて、天狗の師匠の恋の行方は?
そして、乙姫様の千一人目の恋のお相手は――。
ではでは、またいつか。
あとがき
昔話の主人公たちも、時代が変われば悩みも変わるのかもしれません。
恋に悩む乙姫様。
飛ぶことに悩む天狗。
スマホに夢中の浦島太郎。
もし竜宮城や天狗の里が今もどこかにあったなら、こんな毎日を送っているのかもしれませんね。
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