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学会報告:産業ストレス学会2025北九州 その1

 今回は関西支社長の辻井香絵とともに「オープンダイアローグ(2on1)を取り入れた研修」という発表を行いました。その報告は後日改めて書きますが、一般演題発表を終えて向かったシンポジウム3の感動・気づきを忘れないうちに書き留めておきたくなり、ホテルでこの原稿を書いております。
 
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第33回日本産業ストレス学会
日時:2025年11月28,29日
会場:北九州国際会議場
メインテーマ:Psychology, Biology and Technology
       産業ストレスの研究と実践の交差点
https://plaza.umin.ac.jp/jajsr33/
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▼12月11日に障害者雇用セミナーに登壇します

 シンポジウムの報告の前に、12月11日のセミナーをご案内します。産業保健仲間の丸山泰子さんからお誘いを受け、以下のようなセミナーに登壇します。 

  一般演題は面白そうな発表が並んでいたので、自分の発表を終えた後もそのままずっと聞いていようかと思ったのですが、上記セミナーが頭にあったので、迷いつつもシンポジウムの方に移動しました。今の自分にはそれが正解でした!

▼シンポジウム3「発達障害者の社会的障壁を乗り越える」

 シンポジウム3のテーマ、座長、登壇者は以下の通りです。

 座長の若井先生とはFacebookでつながっていますし、坂井先生は元同僚。佐藤先生はEAP協会の講演でお世話になって飲みに行った仲。一方、中島先生、永田先生、高階先生とは面識がありませんが、中島先生はXでの投稿からいろいろ学ばせていただいてきましたし、永田先生は産業保健で知らない人がいない方。高階先生の会社のAwarefyは前から気になってフォローしていました。シンポジウム後にご挨拶できればいいなとは思っていました。遅れて部屋に入ったので最初は後ろで聞いていましたが、スライドが見えないので前に移動。たまたま空いていた席がマイクスタンドの横。別に質問するつもりはないけど、まあいいかと座る。いや、最後に自分が喋るとは思ってもみなかった。

▼各演者の話

 中島先生はADHD、永田先生はASDについて話されました。お二人のお話からはそれぞれの特性から生まれる「困りごと」にどう対処したらいいのかが、とても具体的に見えてきます。「解像度が上がる」という表現を私はよく使いますが、こういうことですね。一方、佐藤先生は、障害者雇用は第二次大戦後の傷痍軍人の就労から始まったという話から、現在に至るまでの変遷を話してくださいました。中島先生、永田先生の話は、「そうそう!」と呟きながら聞いていたのですが、佐藤先生が「障害と診断することにどれくらい意味があるのか」的な話をされたあたりから私の脳はギヤチェンジして、いろいろな思いが巡り始めました。そして高階先生によるAwarefyの紹介。私はデジタル認知行動療法と理解していたのですが、どんどんと活用の幅を広げているようです。

▼診断がつかなくても援助が受けられる可能性が生まれる

 その後、演者たちの討論を聞きながら、ますます頭の中が賑やかになって喋りたくなったので、フロアから二番手としてマイクの前に立ってしまいました。
 私のコメントは、ミスが多いとか時間管理ができないとか、それぞれの困りごとに応じたアプリの機能があると、自分の困りごとに応じて改善策を取ることができる。今までは発達障害などの診断を受けないと、あるいは休職してリワークに参加しないとそういったサポートを受けることができなかった。しかしアプリによる改善プログラムが提供できるならば、その人の職場での困りごとに応じてアプリ機能を利用して、改善することができるわけです。つまり、病院を受診しなくても、診断がつかなくても、困りごとが改善できる可能性が生まれるということに気づきました!というものでした。
 これはとても大きな変革になるのではないかと思いました。障害者雇用されている人は職場がそう認識していますから、困りごとが起これば早期に介入することが可能です。ところが産業医として困るのは、発達障害だろうなと思われるけれど、診断されていないので、職場で問題が起こると、甘えてるとかわがままだとか言われてしまい、必要な支援が受けられないことなのです。
 20年前は私も大人の発達障害の視点がなかったので見逃していました。今では一度面接すれば大体見当はつくようになっていますが、「あなたは発達障害だと思うから受診して必要な援助を受けてください」とはなかなか言えない。従業員あるいは患者さんに、「あなたは発達障害だ」と告げたら大喧嘩になったという産業医や精神科医の話はときどき聞きます。
 しかし「困りごと」対策であれば、「あなたはこういう部分が苦手で仕事で困っていると思うので、改善プログラムを試してみませんか?」と言えるわけです。そしてプログラムを受ける中で、自分は発達障害なのかもしれないと気づけば、さらに適切な支援を受けられるかもしれません。

▼いま一番苦労しているのはロー・パフォーマーの人たち

 私の発言に対し先生方からフィードバックをいただき、もう一言、付け加えました。障害の診断をされている人は、診断されているがゆえに援助を受けることができる。けれど、障害の基準には当てはまらないけれど、職場でのパフォーマンス、評価が低い人から見たら、障害のある人は配慮を受けられていいよね!と不満を抱えることになる。この層にも実は困りごとはあるはずなのですが、今まで焦点が当たってこなかったので、どう困っているかが見えにくい。甘えだ、わがままだ、努力が足りない、能力が低いなどで片づけられてしまう。課題がぼんやりとしか見えない。我々の解像度が低いのです。しかしデジタル技術は、そういった人たちにも助けになる可能性があるわけです。
 当たり前のことを言いますが、人は一人ひとり違います。その違いによる「困りごと」が必ずある。ここ10年、発達障害の診断・治療などの科学の進歩から明らかになってきた、「人の能力を見る視点の細分化」によって、支援のきめ細かさが格段に高まっている。そこにデジタル技術のアクセスのしやすさが加わることで、“すべての人”が自分の困りごとに応じた支援を受けられる可能性のある世の中になっていくということです。とっても大きなことを書いてしまいましたが、これが本シンポジウムに参加して得た“感動”です。
 
 座長の労を執られた若井先生、坂井先生、そして登壇された中島先生、永田先生、佐藤先生、高階先生、本当にありがとうございました。

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