迷子の帰り方 #うたすと2
こちらの企画に参加させていただきます!
「これ、絶対双子が入ってる」
大きな玉子を持って彼女はニヤリと口角をあげた。フライパンからはすでに熱気が上がっていて、その双子とやらの玉子を待ち受る準備は整っていた。
彼女は玉子を、フライパンのふちに打ちつけた。2回。コンコン。玉子の中心に穴が空き、ヒビが入り、中から現れたのは双子の……
男の子だった。
2人の男の子はぴったりとくっついて長いまつ毛を伏せていたが、やがて僕らの方を向いた。
「カストルと、ポルックス」
自分たちをそう指さして双子は部屋を見回した。
玉子から現れた男の子たちを見つめて彼女は唇を震わせていたが、ようやく口を開いた。
「か……かーわいいーーー!!えっ!?桃と竹以外からも子どもって出てくるんだね!玉子から出てきたから玉五郎?いや玉太郎?でもなんか、あれだね!外国の子かな?髪の毛ふわふわ〜♡」
彼女の何でもすぐ受け入れちゃうところ、ボクは好きだけどね。
「カストルと、ポルックス。」
双子はもう一度そう言った。
彼女はニコニコと双子を見つめ、
「玉子食べる?目玉焼き、好き?……もしかして共ぐい…あ、いや何でもない!お腹空いてる?」
と彼らを歓迎しているようだった。
双子は首を横に振ると、部屋の隅に置かれたピアノを指さした。
「ピアノ!?興味あるの?私ね、こう見えて音大生なんだ!えっへん。何弾こうか?きらきら星?」
双子はなおもぴったりとくっついたまま、カストルの方が懐から1枚の楽譜を取り出して彼女に渡した。
「これ?弾くの?いいよ!初見だけどやってみるね。どれどれ……」
少しの練習を挟んで、彼女が椅子に座り直した。スーっと息を吸ってからピアノに手をのせる。
そして流れてはじめた音楽は。
ボクはその曲を聴きながら、ベランダに出てタバコに火をつけた。空に星が1つ、また1つと浮かんでくる。ちょうど夕方が終わりこれから夜が始まる時間。
彼女の弾くピアノは、ベランダから夜空へと溶けていった。
そして双子もまた。
ピアノを弾き終わり、彼女が振り向くとそこに双子の姿はなかった。
「あれ!?カストルとポルックスは!?」
彼女は部屋をキョロキョロと見回したから、ボクは空を指さした。
そこには2つ並んでオレンジと青の星が光っていた。
八神夜宵さん
大橋ちよさん
この度は素敵な楽曲をありがとうございました🥺
simplyを聞いて、思いついたのが双子座でした。
冒頭から流れるやわらかい音がこれから瞬き始める夜の星を思い起こしましたので書いてみましたが、意図に沿えているか…ドキドキ
うたすと2を主催されている皆様、この度は楽しい企画をありがとうございました♡
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