息子にクイズで勝ちたくて、Geminiをひらいた。 #AIと学び
クイズ番組が大好きな息子が
「このクイズ、誰が考えたんだろう?いい問題だなぁ。」
とディレクター目線で解説している。
「AIが作ってるんじゃない?」
私はそう答えながらスマホを開いた。

自分が知ったかぶって答えたことが、子どもの中で真実になっていることがある。今回も適当に「AIじゃない?」と答えてから、(もしも息子が「クイズ番組ってAIが作ってるらしいよ」と外で言ってたらまずいかも)と思った。
AIによるハルシネーション(事実ではないことをそれらしく答えてしまう嘘)は今後の技術で改善されていくだろうが、親から子へのハルシネーションは老化によってますます増える一方だろう。
「あ、ごめん。クイズ作家さんがいるらしいよ、AIによると。」
そう付け加えておいた。
わが家の小学5年生の息子は知的好奇心が旺盛なタイプで、雑学や豆知識みたいなものをモリモリと吸収してはその頭の中にぎゅーぎゅー詰め込んでいる。雑学オタクだ。知識マニアと言ってもいい。
幼い頃は乗り物に夢中で、消防車と救急車の機能を併せ持つ「消救車」や、線路の点検車「マルチプルタイタンパー」など、マニアックな知識を次々覚えた。何度も繰り返し図鑑を読み聞かせているうちに、私も一緒に覚えてしまった。
次は鳥だった。
「これが鷹で、これは鳶で、これは鷲で……」
と熱心に説明してくれるのだが、困ったことに私には全部同じに見える。車窓から見える白い鳥を見て「あれはサギでしょ?」と聞くと「正確にはコサギだね!」と返ってくる。
図鑑を持ってきて「ここが違うでしょ?」と熱弁をふるってくれるのだが……興味がないことを何度説明されてもなかなか覚えられないのが大人の頭なわけで。
ある日、息子と一緒にGeminiで鳥の見分け方表を作ってみた。
『サギの見分け方を教えて』
そう尋ねると、GeminiはGoogleスプレッドシートで比較表を作成してくれた。

でも、字が小さいし読みにくい。
「うーん。やっぱりママには覚えられないかも。」
と匙を投げようとするとGemini側から提案が。

なるほど、それならイラスト図鑑風にしてみてもらおう。②でお願いしてみた。

分かりやすい!!図鑑風というより図鑑になっている。これなら、映画『君たちはどう生きるか』に出てきたサギがアオサギであることは一目瞭然だ。
そんな息子が現在ハマっているのは『社会(地理・歴史)』である。
名城プラモデルを組み立て、御城印をあつめながら各地へ出かけ、築城した武将について調べている。

社会の問題がよく出てくるクイズ番組では誰よりも早く正しく答えようと躍起になり、高校生クイズに出たいという夢を持ち始めた。たとえ対戦相手が小学2年生の弟であろうと手加減せずに早押しをする。当然弟の方は「そんなの知らないよぉ」と泣くことになるのだが。
3つも年上である兄貴が知識を振りかざし、弟に対して忖度もせずに威張るとは卑怯なり。ならば私が相手だ。と、少々天狗になっている息子に、大人である私が真っ向からクイズで勝負を挑んでみることにした。二男の悔しさを知るがよい。
息子は
「いいけど?受けて立つよ。」
と腕組みをし、まずは僕からね、とクイズを出題してきた。
『第1問 日本にある湖を、面積が大きい順に5つ答えよ』
……えっ? 5つ? いきなり難問である。
1琵琶湖、2霞ヶ浦、まではすぐ分かったが、3~5位が分からない。ええっと、阿寒湖?ブー。 諏訪湖?ブー。 摩周湖!ブー。 私は壁に貼ってある日本地図を横目で見た。れっきとしたカンニングだ。しかし目を細めても琵琶湖しか見えない。

「ここでヒント。3位はカタカナです。」
カタカナ!北海道だ、たぶん。なんでも大きいし。
カタカナ。……ネ……ネス湖?
「残念。正解はサロマ湖。あと猪苗代湖、中海でした~。」
……悔しい。『あなたは小学5年生より賢いの?』というクイズ番組を見ながら、大人が答えられずに脱落していくのを笑っていたが私も同じじゃないか。
「じゃ、じゃあ次はママからの問題です。」
私にも意地がある。二男が応援している。頑張らねば。
「えーっと、世界で一番小さい国はどこでしょう?」
どうだ。海外までは難しいだろう。
息子は本当に漫画にあるみたいにハンッと言ってから答えた。
「バチカン市国ね。じゃあその大きさがだいたいどのくらいか知ってる?」
え、なんなの? ハンッって言った。今ハンッて言ったよこの人。ハンッって言った挙句、クイズ返しされた。
「東京ドーム1個分くらいじゃない?」
と答えてみた。
「ブー。東京ドーム9個くらい。ちなみにディズニーランドより小さい」
へ……へぇ?シラナカッタナー。
この時点で私は半ば悟っていた。うん、勝てないね。もう無理。モームリ。
「さてと、そろそろ夕食の時間だわ~。クイズはやめようかな~。」
しれっとキッチンに向かう私の後を、長男は追いかけてきた。
「次は山手線ゲームしようよ。お題は徳川家の将軍ね。」
やりたくないよぉぉぉ。勝てるわけないよぉぉ。
もはや負け戦なのに、自分から挑んだからやめる訳にもいかずに、一応答えていく。家康、吉宗、慶喜、綱吉──……
この勝負、どちらが勝ったかあえて書く必要もないだろう。べ、別に見栄とか張ってないし。
だがしかし。
やっぱ俺って天才? などと天狗にさせたくない。私だって、息子に教えを乞う親ではなく、知識を授ける親でありたい。できればドヤ!と大人の威厳を見せたい。これは意地か、親のエゴか、弟の名誉のためか。
私はこっそりとGeminiをひらいた。

少しひねりのあるクイズをお願い。
Geminiはすぐに、小学5年生向けのクイズを10問用意してくれた。
早速「このクイズ、ママが作ったんだー!」と息子に渡してみた。指示を出したのは私だから嘘はついていないはず。
Geminiが20秒で作ったクイズの正答率。なんと私も息子も9問正解だった。リアル『小学5年生より賢いの?』である。この勝負は引き分けだった。
私も楽しかったが息子も楽しかったようで、自分もクイズを作りたいと言い出した。作り方を教えると「これママじゃなくてGoogleが作ったんじゃん!」と息子にバレた。
それから息子は何問もクイズを作った。特別なプロンプトも必要なく、簡単な指示のみで。

「ママー!今度は歴史の問題つくった!答えて!」
キッチンで唐揚げを揚げていても、ドライヤーをしている途中にも、何度も呼びに来てはクイズを出題する息子。
「今度は鳥の問題!」「生物の問題!」
……ギャフン。
もうギャフンと言わせて欲しい。
息子が赤ちゃんの頃から今までに、乗り物の名前もトーマスのキャラクターもパウパトロールのキャラクターもやっと覚えた。それからサギとシギもなんとか覚えた。それだけでも頑張ったぞドヤ!って言っていいと思う。
トーマスジェームスパーシーゴードンエミリーアニークララベルスカイマーシャルチェイス、それから見分けがつきにくいズーマとロッキー。見分けがつきにくいといえばシジュウカラコガラヒガラゴシュウカラの見分け方も覚えた。
それだけで脳のリソースをだいぶ使ってしまったもんだから、源頼朝はもう忘却の彼方。蘇我3代を問われても、ウマとイルカしか出てこない。
「あと1人はウシかイヌか……」
とか呟いてたら
「動物の名前関係ないからね」
と釘を刺された。ほんの冗談じゃん。(*正解は蘇我蝦夷)
私は学生の頃、勉強ってものが好きになれず、学びといえば退屈でつまらないものだと思ってきた。だから地理も歴史も生物も全然頭に入ってこなかった。すぐ身近にいる鳥も昆虫も、国宝に指定されている松本城でさえも、私の生活にさして必要とされなかったのだ。
でも。
今息子たちとクイズをしたり一緒にフィールドワークに出かけたりすることを、なんか面白いと思っている。
シジュウカラの柄がネクタイみたいでかわいいことや、鳥が言葉を話すこと、熊本城が攻められにくい工夫だとかを知って、子ども達と同じぐらいのテンションで驚いたり発見を楽しんだりしている。
ひとつ知識が増えるたびに答えられるクイズが増えていく。それもまた面白いと思える要因の一つである。
こうして、息子にギャフンと言わせたいから始まった挑戦は、私のギャフンで幕を閉じた。息子はGeminiクイズにすっかりハマり、クイズの後に表示されるスコアやフラッシュカード(暗算カードのようなもの)までポチポチと押しながらまたその知識を頭の中にぎゅーぎゅー詰め込んでいる。

1タップで拡がる展開。

「フラッシュカード」のタブを1クリックしただけで25問作ってくれた。
鳥や城を見るのと同じような瞳で画面を見つめながら息子は問う。
「ねぇ、GeminiとGoogle earthとかGoogleレンズって連携してクイズ作れないかな?」
その柔らかい発想に、大人の私がまた教えられてしまう。子どもはAIと学ぶのも上手いが、AIを学ぶのもまた早い。息子の「連携できないかな?」という問いに、言えることは1つしかない。私はにっこりと微笑みながら白旗を掲げた。
「……Geminiに聞いてみて?」

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