その確認印、あなたは「何を確認したこと」になっていますか?
共有フォルダの権限棚卸し。
退職した人に権限が残っていないか。
異動した人が、前の部署の資料をまだ見られないか。
不要なアクセスが放置されていないか。
やる意味はあります。
むしろ、やらないと危ない。
でも、最後に出てくるこの欄。
「確認者」
ここで手が止まる人、いませんか。
名前を書いた瞬間、自分が何を確認したことになるのか分からない。
業務上その人にアクセスが必要かを見ただけなのに、
人事情報も正しいことにした?
システム設定まで確認したことになった?
削除されていない権限の責任まで持つの?
これ、気にしすぎではありません。
確認印が一つしかないと、別々の判断が一人の名前に押し込まれます。
共有フォルダの権限確認には、本当は少なくとも三つの判断があります。
一つ目は、業務上の必要性。
その人が今もその案件に関わっているのか。
その資料を見る必要があるのか。
これは現場が判断しやすい部分です。
二つ目は、人事情報。
所属はどこか。
異動していないか。
退職していないか。
兼務は終わっていないか。
これは現場が勘で保証するものではありません。
三つ目は、システム上の権限反映。
実際にアクセス権が付いているのか。
削除依頼は処理されたのか。
未処理なのか、保留なのか。
これは情報システム側で確認する領域です。
ところが、Excelに「確認者」欄が一つだけだと、これらが全部まとめられます。
現場リーダーは、
「この人は今の業務に必要です」
と確認しただけのつもり。
でも帳票上は、
「人事情報も正しいです」
「システム上の権限も問題ありません」
「全体として確認済みです」
まで背負ったように見えてしまう。
怖いのは、ここです。
確認印そのものが悪いのではありません。
確認印の意味が分かれていないことが問題です。
だから解決策は、「棚卸しをやめる」ではありません。
やめるべきなのは、何を確認したのか分からないまま名前だけ集めることです。
必要なのは、確認を分けること。
現場確認者は、業務上のアクセス必要性だけを見る。
人事は、所属・異動・退職・兼務終了などの情報を見る。
情報システム部は、権限設定の反映状況を見る。
この三つを分けるだけで、確認印の意味はかなり変わります。
たとえば、確認者欄の近くにこう書く。
「現場確認者は、対象者の業務上のアクセス必要性のみを確認する。人事情報およびシステム設定反映は確認範囲に含めない。」
この一文があるだけで、名前を書く人の不安は減ります。
なぜなら、自分が確認している範囲が見えるからです。
責任をなくす話ではありません。
責任を小さく、具体的に、確認できる単位へ戻す話です。
「現場が確認した」と言うなら、現場が確認したのは業務上の必要性。
「人事が確認した」と言うなら、人事が確認したのは所属や異動などの情報。
「情シスが対応した」と言うなら、情シスが確認したのは権限変更の実施結果。
ここが分かれていれば、確認印はちゃんと証跡になります。
でも分かれていなければ、ただの無限責任スタンプになります。
そして、無限責任スタンプは現場を黙らせます。
「よく分からないけど、去年もこうだったから」
「とりあえず名前を書いておいて」
「何かあったら確認者に聞けばいい」
こうして、帳票は残る。
でも権限管理はよくならない。
次に同じExcelが回ってきたら、メンバー一覧より先に見てください。
確認者欄です。
そこに名前を書く人は、何を確認したことになるのか。
その問いに答えられないなら、棚卸し作業の前に直すべきものがあります。
確認印の設計です。
確認をやめなくていい。
責任から逃げなくていい。
ただ、確認できることと確認できないことを、同じ名前に背負わせない。
それだけで、あの「押した瞬間に全部かぶる感じ」は、かなり減らせます。

