別冊 岳温泉の旅
山王寺 高行
小説城郭探偵『愉快犯マサムネ』に登場する温泉を紹介します。今回は岳温泉。
温泉の歴史
明応5(1496)年に安達太良山から続く鉄山の南面下に陽日温泉が開湯。
文政7(1824)年、鉄山の一部が崩落した土石流で全滅。翌文政8年に塩沢十文字岳の麓に引き湯をして十文字岳温泉を再建。だが明治元(1868)年、戊辰戦争の折に兵火で焼失。明治3(1870)年に深掘まで引き湯をして深掘温泉を再建。しかし明治36(1903)年、深堀温泉火災で全焼。
明治39(1906)年に現在の場所に岳温泉を再建する。幾度の困難にもめげず、引き湯までして源泉を守り続けていることに頭が下がる思い。
鉄山南面下の湧泉地は標高約1500メートル。くろがね小屋の近くで、箱の湯(黒の湯)、熱湯の湯(滝の湯)、冷えの湯、青の湯、元湯神の湯などと名付けられた7つの源泉があり、1本の樋で約8キロメートル引き湯をしている。
温泉街
温泉神社からヒマラヤ大通りの沿道に旅館、飲食店が立ち並ぶ。更に桜坂を下ると鏡ヶ池公園に至る。散策にはもってこい。
「悠泉岳」のモデル
温泉は「陽日の郷あづま館」がモデル。旅館名は、心安らぐ落ち着いた宿のイメージから名付けた。
独立国「ニコニコ共和国」
昭和57(1982)年に独立国を宣言。専用通貨コスモを制定して、温泉街の地域おこしを狙う。当時は多くのメディアに取り上げられた。25年目の平成18(2006)年に日本国に統合となる。
温泉分析書マスターのススメ
「陽日の郷あづま館」は、日帰り入浴1,000円。広い内湯に露天風呂、サウナもあり。月見の湯には壺湯、花見の湯には岩風呂の露天。館内のレストラン利用で入浴料200円割引あり。アメニティーも揃っている。
PH値2.5で溶存物質746mg/kgの単純酸性温泉。泉温54.5℃あり、源泉掛け流しは高温。無色透明。通常は少量の白色沈殿物あり。
週1日ミルキーデイ。引き湯の樋に付着した湯花流しで、白濁した湯を楽しめる。硫酸イオン92ミリバル%あり、一皮剥けたようなスッキリ感。それでいてメタケイ酸も153mgと豊富。殆ど無臭だが、上がってから若干の硫黄臭を感じる。
行き方
東北自動車道二本松IC下車し岳温泉へ。10分程なだらかな舗装道路が続くが、冬場滑り止めの砂が複数箇所にあり。
写真は岳温泉鏡ヶ池公園(2026年4月撮影)。
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