【みおとあおい】第三十二章:消費税の真名解放第六段階―売上税―
第三十二章:消費税の真名解放第六段階―売上税―
消費税は、消費者が預けた税を事業者がそのまま納める仕組みではありません。
実際には、事業者が売上と仕入をもとに納付額を計算し、粗利の中から消費税を支払っています。
だから消費税は、名前は消費税でも、仕組みは売上税であり、現実には賃上げ妨害税として働きます。

消費税は、売上税だった
みお:
出たわね……。
消費税の真名解放、第六段階……。
売上税……。
あおい:
税制の話だよ。
みお:
分かってるわよ。
でも、出たじゃない。
売上税。
あおい:
うん。
みお:
今まで、ずっと消費税は消費者が負担する税だと言われてきた。
あおい:
うん。
みお:
事業者は、消費者から預かった税を、国に納めるだけだと言われてきた。
あおい:
うん。
みお:
でも、違った。
あおい:
うん。
みお:
仕組みは、売上税だった。
あおい:
実装を見ると、売上税的な性格がかなり強い。
みお:
また、やわらかく言う。
あおい:
税制の話だからね。
みお:
だから怖いのよ。
消費税は、名前だけを見ると、消費にかかる税のように見えます。
消費者が買い物をする。
そのときに消費税を払う。
事業者は、それを預かって国に納める。
多くの人は、たぶん、そういうイメージで消費税を理解しています。
でも、実際の消費税法上の納税義務者は、消費者ではありません。
事業者です。
ここが、まず大事です。
消費者が納税義務者ではない。
事業者が納税義務者である。
この時点で、私たちが普段聞かされてきた説明と、法律上の実装にはズレがあります。
みお:
じゃあ、消費者は何なの?
あおい:
商品やサービスの代金を払う人。
みお:
納税者ではない。
あおい:
消費税法上はね。
みお:
でも、レシートには消費税って出る。
あおい:
うん。
みお:
値札にも、税込価格って出る。
あおい:
うん。
みお:
私は、消費税を払った気になる。
あおい:
そこが、表示と実装のズレだね。
みお:
ミミックレシート。
あおい:
また出たね。
みお:
何度でも出るわよ。
消費税の仕組みを、かなり単純化して見ると、こうなります。
売上がある。
仕入がある。
その差額を見る。
そして、一定の税率をかけて、事業者が納税する。
もちろん、実際の税務計算はもっと複雑です。
税込経理。
税抜経理。
軽減税率。
簡易課税。
インボイス。
非課税取引。
免税取引。
課税売上割合。
仕入税額控除。
こうした要素があります。
ただし、構造を見る入口としては、こう考えると分かりやすいと思います。
消費税 ≒(売上 − 仕入)×10%これは、正確な税務申告の式ではありません。
でも、構造を見るための入口としては十分です。
消費税は、消費者から預かった税をそのまま国に納める仕組みではありません。
事業者の売上と仕入をもとに、納付額を計算する仕組みです。
だから、消費税という名前で呼ばれていても、実装を見ると、売上にかかる税としての顔が見えてきます。
みお:
名前は、消費税。
あおい:
うん。
みお:
でも、消費者は納税義務者ではない。
あおい:
うん。
みお:
計算に出てくるのは、売上と仕入。
あおい:
うん。
みお:
じゃあ、どこが消費者の税なの?
あおい:
政府説明では、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担する、という整理になっている。
みお:
価格転嫁。
あおい:
うん。
みお:
その言葉が、もう怪しいのよ。
あおい:
どういうこと?
みお:
転嫁って言った瞬間に、こういう前提が入るでしょ。
本来は消費者が負担する税がある。
それを事業者が価格に移す。
だから、価格転嫁。
あおい:
うん。
みお:
でも、現場の価格って、そんなふうに決まらない。
あおい:
そうだね。
みお:
売価は、市場で決まる。
あおい:
うん。
みお:
競合店がある。
客寄せがある。
値ごろ感がある。
特売がある。
在庫処分がある。
売り場全体の粗利管理がある。
あおい:
うん。
みお:
そこに、消費税分をきれいに上乗せしました、なんて世界があるわけないじゃない。
あおい:
現実には、かなり難しい。
みお:
違うわ。
あおい:
え?
みお:
あり得ないのよ。
たとえば、スーパーの特売品を考えます。
石鹸にしましょう。
食品ではないので、税率は10%です。
あるスーパーが、石鹸を100円で仕入れたとします。
それを、特売価格として税込110円で売る。
このようなことは、スーパーの現場では十分にあり得ると思います。
特売品です。
客寄せです。
競合対策です。
値ごろ感です。
チラシに載せるための価格です。
この税込110円の石鹸に、消費税分がきれいに価格転嫁されていると言えるでしょうか。
常識で考えれば、そんなことはありません。
そこにあるのは、まず税込110円という売価です。
その売価が先にあります。
あとから、その売価に対して、消費税相当額という表示が貼られる。
順番が逆なのです。
価格転嫁されたから110円になったのではありません。
税込110円という特売価格が先にある
その価格に、あとから内消費税等という表示が付くのです。

みお:
税込110円の特売石鹸に、価格転嫁?
あおい:
うん。
みお:
あるわけないでしょ。
あおい:
……うん。
みお:
それは、特売価格よ。
あおい:
うん。
みお:
お客さんに来てもらうための価格。
あおい:
うん。
みお:
競合店と戦うための価格。
あおい:
うん。
みお:
値ごろ感の価格。
あおい:
うん。
みお:
そこに、後から「内消費税等10円」って表示を貼っているだけ。
あおい:
そう見えるね。
みお:
じゃあ、その10円は何?
あおい:
売価を税率で分解した表示上の額。
みお:
擬似税額ラベル。
あおい:
税制の話だよ。
みお:
だから怖いのよ。
税込110円の石鹸を売ると、レシートには「内消費税等10円」のような表示が出ます。
消費者は、それを見るとこう思います。
私は10円の消費税を払った。
でも、その10円は、消費者が国に納めた税ではありません。
消費者は消費税法上の納税義務者ではありません。
また、その10円を店がそのまま国に納めるわけでもありません。
店には、仕入があります。
売上があります。
その差額があります。
かなり単純化して言えば、こうです。
仕入:100円
売価:110円
粗利:10円この粗利10円から、店は消費税を払わなければなりません。
ざっくり言えば、
(110円 − 100円)×10% = 約1円です。
細かく言えば、税込価格を税抜に戻して計算する必要があります。
端数処理もあります。
でも、この記事で見たいのは、税務申告の精密計算ではありません。
構造です。
つまり、レシートに表示された10円と、店が実際に納める額は一致しない。
ここが重要です。
みお:
レシートには10円。
あおい:
うん。
みお:
でも、店が実際に納めるイメージは約1円。
あおい:
ざっくり言えばね。
みお:
じゃあ、10円は私の納税額じゃない。
あおい:
うん。
みお:
店がそのまま納める税額でもない。
あおい:
うん。
みお:
じゃあ、ただの表示じゃない。
あおい:
売価に貼られた擬似税額ラベルだね。
みお:
現実にも、実務にも接地していない。
あおい:
消費者に見せる表示としては、そういう面がある。
みお:
ナラティブ維持装置。
あおい:
……。
みお:
「消費税は消費者が払っている」という物語を維持するための表示。
あおい:
税制の話だよ。
みお:
だから怖いのよ。

あおいは、ノートに式を書いた。
消費税 ≒(売上 − 仕入)×10%みおは、その冷たい数式を見て、窓の外に視線を移した。
しばらく、何も言わなかった。
あおい:
税制の話だよ。
みお:
だから怖いのよ。
窓の外には、夜の街があった。
コンビニの明かり。
小さな飲食店。
美容室。
町工場。
個人商店。
駅前のレジ。
商店街のシャッター。
誰かが売上を数え、
誰かが仕入れの請求書を見て、
誰かが家賃と給料を並べ、
誰かが納付書を見つめている。
その上を、見えない結界が覆っている。
消費税は、消費者が払う税です。
事業者は、預かって納めるだけです。
最終的には、消費者が負担しています。
その言葉は、やさしい説明のように聞こえる。
でも、現場では違う。
価格に乗せられなかった分は、どこへ行ったのか。
赤字でも納めた分は、誰が負担したのか。
借金して払った消費税は、預り金だったのか。
賃上げできなかった原資は、どこに消えたのか。
みおは、窓の外を見ながら言った。
みお:
この式の下に、人がいるのね。
あおい:
うん。
みお:
売上を数える人。
あおい:
うん。
みお:
仕入れの請求書を見る人。
あおい:
うん。
みお:
家賃と給料を並べる人。
あおい:
うん。
みお:
納付書を見つめる人。
あおい:
うん。
みお:
その人たちに向かって、消費税は預り金です、と言っていた。
あおい:
うん。
みお:
事業者は預かって納めるだけです、と言っていた。
あおい:
うん。
みお:
でも、その人たちは、粗利の中から払っていた。
あおい:
うん。
みお:
給料の原資から。
あおい:
うん。
みお:
家賃の原資から。
あおい:
うん。
みお:
明日の仕入れの原資から。
あおい:
うん。
みお:
……それでも、消費者が負担する税だと言い続けるの?
あおい:
それが政府説明だね。
みお:
違うわ。
あおい:
え?
みお:
それが、結界なのよ。

事業者にとって、消費税は純粋なコストです。
政府説明では、消費税は消費者が負担する税だとされます。
事業者は預かって納めるだけだと説明されます。
でも、特売石鹸のような現場では、価格は市場で決まります。
消費税分をきれいに上乗せできるわけではありません。
売価は、競合、客寄せ、値ごろ感、在庫、粗利管理の中で決まります。
その売価から仕入を引いた粗利の中から、事業者は消費税を払います。
つまり、消費税は粗利に刺さる税です。
売価 − 仕入 = 粗利この粗利から、事業者は支払います。
給料。
家賃。
電気代。
物流費。
廃棄ロス。
決済手数料。
広告費。
借入返済。
そして、消費税。
粗利は、自由に残る利益ではありません。
その中から、店を動かすためのすべてを払います。
そして、その粗利から消費税も払う。
だから、消費税が粗利を削れば、給料に回すお金も削られます。
みお:
粗利10円って、利益じゃないのね。
あおい:
うん。そこから給料も経費も払う。
みお:
家賃も?
あおい:
うん。
みお:
電気代も?
あおい:
うん。
みお:
廃棄ロスも?
あおい:
うん。
みお:
決済手数料も?
あおい:
うん。
みお:
その上で、消費税も?
あおい:
うん。
みお:
じゃあ、消費税が粗利を削れば、給料が圧迫される。
あおい:
そうだね。
みお:
賃上げする原資が削られる。
あおい:
うん。
みお:
だから、消費税は賃上げ妨害税。
あおい:
……税制の話だよ。
みお:
だから怖いのよ。
消費税は、単に「消費者が負担する税」ではありません。
少なくとも、現場の事業者から見れば、そう単純には言えません。
売価は市場で決まります。
仕入があります。
粗利があります。
その粗利の中から、給料も経費も支払われます。
そして、消費税も支払われます。
価格を上げられない事業者にとって、消費税は粗利を削るコストです。
粗利が削られれば、賃上げ原資も削られます。
だから、消費税は賃上げを妨げる方向に働きます。
ここで、消費税の真名解放第七段階が見えてきます。
賃上げ妨害税。
しかし、今回は第六段階です。
売上税。
まずは、ここで止めます。
みお:
名前は、消費税。
あおい:
うん。
みお:
説明は、消費者負担。
あおい:
うん。
みお:
レシートには、消費税相当額。
あおい:
うん。
みお:
でも、仕組みを見ると、売上と仕入。
あおい:
うん。
みお:
事業者が納める。
あおい:
うん。
みお:
粗利から抜かれる。
あおい:
うん。
みお:
給料を圧迫する。
あおい:
うん。
みお:
……もう、隠せていないわね。
あおい:
何が?
みお:
消費税の真名。
あおい:
……。
みお:
第一段階、付加価値税。
あおい:
うん。
みお:
第二段階、第二法人税。
あおい:
うん。
みお:
第三段階、直接税。
あおい:
うん。
みお:
第四段階、取引税。
あおい:
うん。
みお:
第五段階、多段階式付加価値税。
あおい:
うん。
みお:
第六段階。
あおい:
……。
みお:
売上税。
あおい:
税制の話だよ。
みお:
だから怖いのよ。
レジが鳴る。
ピッ。
税込110円の石鹸が売れる。
レシートには、内消費税等10円と表示される。
でも、その10円は、消費者の納税額ではない。
店がそのまま国に納める額でもない。
それは、売価に貼られた擬似税額ラベルだ。
店は、仕入と売上の差額から、消費税を払う。
その粗利から、給料も、家賃も、電気代も、ロスも、消費税も払う。
そして、残ったものだけが、本当の利益になる。
消費税は、消費者の税の顔をしている。
しかし、その仕組みは、売上を見ている。
消費税。
真名解放第六段階。
売上税。
みおは、静かにノートを閉じた。
ピッ。
今日もどこかで、売上が鳴っている。

参考資料:安藤裕議員の国会質疑について
参考資料として、安藤裕議員の国会質疑をもとに整理しておきます。
今回の記事で扱った核心は、次の三つです。
消費税の納税義務者は、法律上、誰なのか。
消費税は、本当に消費者から預かった税なのか。
そして、消費税は現場で何を削っているのか。
今回の記事では、この構造を次のように整理しました。
消費税の真名解放第六段階。
売上税。
そして、その先に見えてくるものが、
賃上げ妨害税。
という現実作用です。
まず、消費税法上の納税義務者は事業者です
安藤裕議員は、消費税について、まず納税義務者を確認しています。
片山財務大臣は、消費税法上の納税義務者は事業者である、という趣旨の答弁をしています。
ここが、今回の記事の出発点です。
消費税は、国民向けには長く次のように説明されてきました。
消費税は消費者が負担する税です。
事業者は預かって納めるだけです。
最終的には消費者が負担しています。
しかし、法律上の納税義務者は消費者ではありません。
事業者です。
つまり、消費者は消費税法上の納税義務者ではありません。
消費者は、商品やサービスの代金を支払う人です。
一方で、申告し、納付する義務を負うのは事業者です。
ここで、私たちが普段見ている消費税のイメージと、法律上の実装には大きなズレがあることが分かります。
次に、益税は法律上どう見えるのか
安藤議員は、いわゆる益税についても確認しています。
世間では、免税事業者などについて、
消費者から預かった消費税を国に納めず、自分の利益にしている。
というイメージで語られることがあります。
しかし、消費者が法律上の納税義務者ではないなら、消費者が納めるべき消費税を事業者が預かっている、という構造そのものが成り立ちません。
片山財務大臣も、法律上、消費者が消費税法の納税義務者として書かれていないため、その切り口では法律上そういうことにはならない、という趣旨の答弁をしています。
つまり、法律上の預り金モデルとしての益税は、非常に説明しにくいものになります。
ここで見えてくるのは、消費税が「預り金」ではなく、「預り金のように見えるもの」として語られてきたという構造です。
多くの人は、消費税を理想モデルで見ている
安藤議員は、国民の多くが消費税を次のようなイメージで捉えていると指摘しています。
適正な原価がある。
適正な利益がある。
その上に、消費税分がきれいに上乗せされる。
そして、適正な販売価格になる。
もしこの世界が本当に成立しているなら、消費税はそれほど問題のない税に見えるかもしれません。
なぜなら、事業者は必要な利益を確保したうえで、消費税分を上乗せできるからです。
しかし、現実は違います。
赤字企業があります。
低賃金労働者がいます。
買い叩きがあります。
価格を上げられない事業者がいます。
利益が薄い中小企業があります。
つまり、消費税分が常にきれいに上乗せされているという世界は、現実ではありません。
それは、あくまでイメージです。
幻想です。
今回の記事では、この幻想を、
価格転嫁ナラティブ
として扱いました。
消費税は売上税である
今回の記事で最も重要なのは、安藤議員が消費税について、
売上税です。
と述べている点です。
安藤議員は、消費税は売上に課税している税金であり、売上の10%を持ってこいというのが原則で、そのうえでインボイスのある経費だけを差し引いて残りを納税する仕組みだ、という趣旨の説明をしています。
それに対して、片山財務大臣は、大まかには大体そういう税の仕組みである、という趣旨で答えています。
ここが、今回の記事でいう、
消費税の真名解放第六段階――売上税
です。
もちろん、実際の税務計算は単純な「売上−仕入」だけではありません。
税込経理。
税抜経理。
仕入税額控除。
軽減税率。
インボイス。
簡易課税。
非課税取引。
免税取引。
課税売上割合。
こうした要素があります。
ただし、構造を見る入口としては、
消費税 ≒(売上 − 仕入)×税率
という見方が分かりやすい。
つまり、消費税は、消費者から預かった税をそのまま国に納める税ではありません。
事業者が、売上と仕入をもとに納付額を計算する税です。
だから、名前は消費税でも、仕組みを見ると売上税としての顔が見えてきます。
赤字でも課税される理由
安藤議員は、消費税では売上からすべての経費を差し引けるわけではないため、赤字でも課税されると指摘しています。
ここは非常に重要です。
法人税であれば、基本的には利益に課税されます。
しかし消費税は、利益そのものに課税されるわけではありません。
売上があり、そこから控除できる仕入等を差し引き、残りに対して納付額が発生します。
つまり、会計上は赤字であっても、消費税の納税義務が発生することがあります。
ここが、事業者にとって非常に重い部分です。
納税できる能力がない事業者にも、消費税の納付が迫られる。
だから、消費税は資金繰りを圧迫します。
そして、場合によっては、借金して消費税を納める事業者も出てきます。
ここで、預り金ナラティブは崩れます。
もし本当に預り金なら、事業者の資金繰りを圧迫するはずがありません。
しかし現実には、消費税が払えずに資金繰りで苦しむ事業者がいます。
この時点で、消費税は事業者にとって純粋なコストとして現れます。
消費税は賃上げ妨害税である
安藤議員は、賃上げについても重要な指摘をしています。
賃上げする原資を持っていく前に、消費税を納税しろと言われている。
だから賃上げできない。
消費税は賃上げ妨害税である。
という趣旨です。
今回の記事の終盤は、この構造につながります。
事業者は、粗利の中からすべてを支払います。
給料。
家賃。
電気代。
物流費。
廃棄ロス。
決済手数料。
広告費。
借入返済。
そして、消費税。
粗利は、自由に残る利益ではありません。
事業者は、その粗利の中から、店や会社を動かすための支出を行います。
そこに消費税が食い込む。
つまり、消費税が粗利を削れば、給料に回すお金も削られます。
賃上げ原資も削られます。
だから、消費税は現実作用として、
賃上げ妨害税
として働きます。
これは制度分類ではなく、現場に現れる作用の名前です。
食料品消費税ゼロの質疑も、価格転嫁の難しさを示している
安藤議員は、食料品の消費税をゼロにした場合、すべての食料品価格がきれいに8%下がるのか、という点も質問しています。
片山財務大臣は、価格への反映がどのくらいできているかによる、という趣旨の答弁をしています。
これは重要です。
税率を下げたからといって、価格が必ず税率分だけ下がるとは限りません。
つまり、価格は税率だけで決まっているわけではありません。
市場価格。
競争。
仕入価格。
人件費。
家賃。
物流費。
客離れ。
値ごろ感。
こうした現実の中で価格は決まります。
これは、今回の記事で扱った「価格転嫁」という言葉の限界とつながります。
消費税分がきれいに価格へ上乗せされているなら、税率を下げれば価格もきれいに下がるはずです。
しかし、現実にはそう簡単にはなりません。
だからこそ、価格転嫁率100%という前提は、現実の価格形成とはズレています。
塩入清香議員の質疑との接続
この安藤質疑は、塩入清香議員の質疑とも接続します。
塩入質疑では、片山財務大臣が、消費税について、事業者が納税者ではあるが、最終的には転嫁によって消費者が負担しているという仮説に則ってできている、という趣旨の答弁をしています。
ここで見えたのが、
片山仮説:価格転嫁率100%
です。
そして、その片山仮説を支える条文として、税制改革法第十一条があります。
税制改革法第十一条には、事業者は消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする、という趣旨の規定があります。
しかし、それは現実に価格転嫁できていることを証明するものではありません。
それは、価格転嫁されるべきだというナラティブです。
つまり、
塩入質疑は、価格転嫁ナラティブの根にある「仮説」を見せた。
安藤質疑は、その仮説と現実の実装構造のズレを見せた。
この二つを合わせると、消費税の二層構造が見えてきます。
税制改革法第十一条=ナラティブ層。
消費税法=実装層。
ナラティブ層では、消費税は消費者が負担する税として語られます。
しかし実装層では、消費税は事業者が売上と仕入をもとに納める税です。
ここを分けて見ない限り、消費税の構造は見えてきません。
今回の記事との接続
今回の記事では、スーパーの特売石鹸を例にしました。
仕入100円。
売価110円。
粗利10円。
このような特売価格に、消費税分がきれいに価格転嫁されているとは言えません。
まず、売価があります。
客寄せ。
競合対策。
値ごろ感。
チラシ価格。
売り場全体の粗利管理。
こうした現実の中で、税込110円という売価が決まります。
その売価に、あとから「内消費税等10円」という表示が貼られます。
つまり、レシート上の消費税相当額は、価格転嫁の証拠ではありません。
それは、売価に貼られた擬似税額ラベルです。
そして、事業者は粗利10円の中から、消費税を支払います。
その粗利から、給料も経費も支払います。
だから、消費税は粗利を削る税であり、賃上げ原資を圧迫する税でもあります。
ここで、安藤質疑の、
消費税は売上税である。
消費税は賃上げ妨害税である。
という指摘と、今回の記事の構造が接続します。
今回の記事の核心
今回の記事の核心は、次の一点です。
消費税は、消費者が預けた税を事業者がそのまま国に納める税ではありません。
事業者が売上と仕入をもとに納付額を計算し、粗利の中から支払う税です。
だから、仕組みを見ると、消費税は売上税としての顔を持っています。
そして、価格を上げられない現場では、その負担は事業者の粗利に沈みます。
粗利は給料や経費の原資です。
だから、消費税は賃上げ原資を削る税でもあります。
この構造を、今回の記事では、
消費税の真名解放第六段階――売上税
として扱いました。
そして、その先に見える第七段階が、
賃上げ妨害税
です。

拡散希望
消費税は、長く、次のような物語で語られてきました。
消費者が払っている税。
事業者は預かって納めるだけ。
最終的には消費者が負担している。
納められないのは、預かった税金を使ってしまったから。
しかし、国会質疑を丁寧に見ると、そこには大きなズレがあります。
消費税法上の納税義務者は、消費者ではなく事業者です。
消費税は、消費者から預かった税をそのまま納める仕組みではありません。
事業者が売上と仕入をもとに納付額を計算する仕組みです。
そして、価格は税率だけで決まるものではありません。
市場価格。
競合。
客寄せ。
買い叩き。
低賃金。
赤字企業。
値上げできない中小企業。
そうした現実の中で決まります。
だから、消費税分が常にきれいに価格転嫁されているという説明は、現実に接地していません。
価格を上げられない事業者にとって、消費税は粗利に沈みます。
粗利は、給料や経費の原資です。
その粗利を消費税が削るなら、賃上げ原資も削られます。
つまり、消費税は現場では賃上げを妨げる方向に働きます。
消費税を考えるために必要なのは、感情論ではありません。
まず構造を見ることです。
名前と仕組みを分ける。
表示と実装を分ける。
ナラティブと現実を分ける。
価格転嫁の仮説と、値上げできない現場を分ける。
消費者負担の物語と、事業者納税の実装を分ける。
そのために、この記事が少しでも役に立つなら幸いです。
よろしければ、拡散やコメントでご意見をいただけると嬉しいです。
みお
「少しでも役に立ったら、スキを押してくれると嬉しいな💗」
👉【みおとあおい】マガジン
未桜(みお)と碧(あおい)が、難しい制度や社会の仕組みを短い会話でほどいていくマガジンです。
みおが素朴に驚き、あおいが静かに整理します。
消費税、税制、経済、社会の話を、少しだけ分かりやすく、少しだけ物語りとして読めるようにしています。
