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豊島岡女子中の理科|10年分の入試問題から見る出題傾向と対策【学校別分析⑬】


1 はじめに

本レポートは、豊島岡女子学園中学校の理科入試(2017〜2026年度、第1回入試)について、全216小問を「大単元・中単元・難度・出題形式」の4軸で分類し、10年間の出題傾向とその背後にある出題思想、そして具体的な学習指針までを一気通貫でまとめたものである。
この学校の理科は、大問の並び順に強い規則性を持つ。大問1は物理、大問2は化学というのが、2017年度から2026年度までの10年間、一度の例外もなく守られている。大問3・4は生物と地学が年によって入れ替わるが、物理・化学という前半2つの座席だけは、10年間まったく動いていない。2025年度だけは化学が2つの大問(燃焼・酸化と気体・状態変化)に分かれ、大問が5題に増える変則を見せている。
難度に目を移すと、最上位のD(高度発展)は10年間・216問の中で一度も出題されていない。さらに2026年度は、もっとも易しいA(基本知識・単純処理)までもがゼロになっており、標準(B)とやや難(C)だけで理科全体が構成される、10年間で唯一の年になった。この学校は奇問による選抜をそもそも行わない一方で、直近にかけて「易しい入り口」を減らし、標準以上のレベルで最初から向き合わせる方向に、静かに舵を切っている可能性がある。
大単元は生物25.9%・物理25.0%・化学24.5%・地学24.5%と、小数点以下まで見てもほぼ完全に均等である。難度全体ではA14.8%・B45.4%・C39.8%・D0.0%で、Bを土台にCが4割近くを占める。分野別に見ると物理はAが一度も出現せずC比率53.7%ともっとも重く、生物はA比率26.8%ともっとも軽い。分析にあたっては、10年平均で全体の骨格を押さえたうえで、必ず直近1〜2年(2025・2026年度)の動きを重ね、「いま何が起きているか」「今後どこへ向かうか」を重視した。

■ 他の学校の理科分析はこちら
→ 【中学受験】学校別入試問題分析シリーズ 理科

2 結論

先に結論を述べる。豊島岡女子学園中の理科は、次の一文に集約できる。
大問1・2が10年間・全年度で必ず物理・化学の順に固定される、骨格の安定した入試。難問(D)は10年間一度も出題されない一方、2026年度は易しい設問(A)までもがゼロになり、標準とやや難だけで理科全体が構成される、これまでにない年を迎えた。大単元は4分野がほぼ完全に均等で、生物がもっとも取り組みやすく物理がもっとも重いという、明確な役割分担を持つ。
■ 大問1・2は10年間・全年度で必ず「物理→化学」の順 この並びが崩れたことは一度もない。大問3・4は生物・地学が年によって入れ替わり、2025年度だけは化学が2大問に分かれる変則もあった。
■ 難問(D)は10年間・216問の中で一度も出題されていない 奇問による選抜を行わない設計である一方、C(やや難)は39.8%と4割近くを占め、標準からもう一段上のレベルで着実に差をつける。
■ 2026年度、易しい設問(A)までもがゼロに。標準とやや難だけの年は10年間で唯一 2017〜2025年度はいずれもAが3〜7問存在したが、2026年度だけはB・Cのみで理科全体が構成されている。難度の「入り口」が閉じられた、注目すべき年である。
■ 物理はAが10年間一度も出現せず、C比率53.7%と4分野中もっとも重い 力と運動が最大テーマで、計算が61.1%を占める。理科全体の難度を実質的に牽引しているのは物理である。
■ 生物は「動物・分類・生態系」が51.8%を占める、圧倒的な最大テーマを持つ A比率26.8%と4分野中もっとも高く、知識(48.2%)中心の構成で、4分野の中でもっとも取り組みやすい。

3 この学校が理科で測ろうとしている力

データを単元の羅列としてではなく「なぜこの構成なのか」という出題側の意図として読むと、豊島岡女子学園中が測ろうとしている力は次の5つに整理できる。
▍① 大問の骨格(物理→化学)を固定し、残り2枠を柔軟に運用する
大問1・2が10年間一度も崩れずに物理・化学の順を守っている一方、大問3・4は生物・地学が入れ替わり、2025年度には化学が2大問に分かれるという変則も起きている。これは、試験全体の「導入部分」の型を固定しながら、後半の2枠については柔軟に調整するという、部分的な規則性と部分的な自由度を組み合わせた設計思想の表れである。
▍② 難問を排除しながら、標準以上のレベルで着実に選抜する
Dが10年間一度も出題されていない一方、Cが39.8%と4割近くを占めることは、この学校が「解けない問題」による選抜ではなく、「標準からもう一段上まで到達できるか」という基準で、着実に差をつけていることを示している。2026年度にAまでもがゼロになったことは、この「標準以上での選抜」という方針を、さらに一歩進めた結果と見ることができる。
▍③ 物理に計算力を、生物に知識の広さを、それぞれ重点的に課す
物理は計算が61.1%を占め、力と運動という単一テーマへの集中度も高い。対照的に生物は知識が48.2%を占め、動物・分類・生態系という幅広いテーマを扱う。同じ理科という科目の中で、物理には深い処理力を、生物には広い知識を、明確に使い分けて要求する設計になっている。
▍④ 化学は中和・水溶液という王道を軸に、量的な処理力を試す
化学の45.3%を占める「中和・水溶液」というテーマは、酸・アルカリの反応量や濃度計算という、量的な関係を正確に処理する力を試すものである。計算が52.8%を占めることとあわせて、化学もまた物理に近い、数値処理を重視する分野として位置づけられている。
▍⑤ 地学は「大地の変化」を軸に、資料読解と知識運用を組み合わせる
地学の49.3%を占める「大地の変化」(岩石・地層・火山・資源)というテーマは、資料読解(22.6%)と知識(32.1%)を組み合わせて出題される。天体というもう一つの柱とあわせて、地学は「読み解く力」と「知っている力」の両方を試す、バランスの取れた構成を持つ。

4 大単元分析

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