淑徳与野中の理科|10年分の入試問題から見る出題傾向と対策【学校別分析㉝】
1 はじめに
本レポートは、淑徳与野中学校の理科入試(2017〜2026年度)について、全186小問を「大単元・中単元・難度・出題形式」の4軸で分類しに、10年間の出題傾向とその背後にある出題思想、そして具体的な学習指針までを一気通貫でまとめたものである。
淑徳与野中の理科でまず押さえておきたいのは、大問1の構造である。大問1は10年間一度の例外もなく、2〜4分野が混在する小問集になっている。1つの大問の中で化学・物理・地学・生物が入れ替わり立ち替わり登場し、1問ごとにテーマがまったく異なるのが特徴である。大問2〜4(あるいは5)は単一分野で構成される「本編」であり、大問1はその前に置かれる幅広い知識の確認パートという位置づけと考えられる。
もう1つの大きな特徴が、地学の扱いの変化である。地学は2023年度を除く9年間で出題されているが、2018〜2021年度・2025年度はいずれもわずか1問しか出題されておらず、大問1の小問集の中に申し訳程度に組み込まれるだけの存在だった。ところが2024年度に4問、2026年度には5問と、直近では地学が独立した大問を持つ年が増えており、10年間で地学の地位が大きく変わりつつある。
大単元は化学31.7%・物理29.6%・生物28.0%・地学10.2%という構成で、難度はA23.7%・B52.7%・C23.7%・D0%と、Bを土台にした標準的な設計である。分析にあたっては、10年平均で全体像を押さえたうえで、必ず直近1〜2年(2025・2026年度)の動きを重ね、「いま何が起きているか」「今後どこへ向かうか」を重視した。
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2 結論
先に結論を述べる。淑徳与野中の理科は、次の一文に集約できる。
大問1が10年間一貫して複数分野混在の小問集であるという骨格の上に、長年「1問だけの添え物」だった地学が、2024年度以降は独立した大問を持つ年が増え、存在感を高めつつある入試。物理・化学が計算中心、生物が選択・記述・実験考察中心という分野ごとの役割分担は10年間安定している。
■ 大問1は10年間、一度の例外もなく複数分野混在の小問集 大問1は毎年2〜4分野が混ざり合う4〜6問の小問集であり、10年間この形式が崩れたことはない。単一分野を深掘りする大問2〜4(5)とは対照的に、幅広い知識の確認を担う導入パートである。
■ 地学は多くの年でわずか1問、しかし2024年度に4問・2026年度に5問と急伸 地学は2018〜2021年度・2025年度に1問しか出題されない年が続いた一方、2024年度は独立した大問(天気・気象)として4問、2026年度も独立した大問(天体・月)として4問に加え小問集にも1問と、合計5問まで増えている。
■ 難度Dは10年間ゼロ、Bが52.7%を占める標準重視の設計 A23.7%・B52.7%・C23.7%・D0%という構成で、Bが過半を占める。C比率は2017〜2021年度平均21.6%から2022〜2026年度平均25.8%へやや上昇しているが、突出した難問はない。
■ 物理・化学は計算中心、生物は選択・記述・実験考察中心という役割分担 物理は計算49.1%・化学は計算47.5%と理系2分野は計算に大きく依存する一方、生物は選択46.2%・記述15.4%・実験考察15.4%で計算はわずか1.9%。地学は記述26.3%が4分野中もっとも高い。
■ 総小問数は2023・2024年度に落ち込んだ後、2026年度に10年間最多水準へ回復 総小問数は2023・2024年度に16問まで減少したが、2026年度は21問(2019年度と並び最多)まで回復している。大問数も2026年度は5題に増え、地学の独立大問化とあわせて出題規模が拡大している。
3 この学校が理科で測ろうとしている力
データを単元の羅列としてではなく「なぜこの構成なのか」という出題側の意図として読むと、淑徳与野中が測ろうとしている力は次の4つに整理できる。
▍① 大問1で理科全般への広い理解を確認する
大問1が10年間一貫して複数分野混在の小問集であることは、単元を横断した基礎知識と、その場で切り替えながら答える対応力を確認する狙いがあると考えられる。1問ごとにテーマが変わるため、どこか1分野に穴があると大問1全体で失点が積み重なりやすい構成である。
▍② 大問2〜4(5)で単一分野を掘り下げ、応用力を試す
大問1に続く大問は物理・化学・生物・地学のいずれか1分野に絞られ、計算や実験考察を通じてその分野の理解の深さを試す構成になっている。物理・化学は計算力、生物は知識の運用と記述力というように、大問1の「広さ」に対して大問2〜4(5)は「深さ」を測る、明確な役割分担がある。
▍③ 地学の比重を長年抑えてきたが、直近で見直しが進んでいる
地学は2018〜2021年度・2025年度に1問しか出題されない年が続き、10年間を通じて4分野の中でもっとも扱いが小さかった。しかし2024年度に独立した大問(天気・気象)が初めて設けられ、2026年度には大問5として天体・月がさらに追加された。長年「添え物」だった地学を、他の3分野と同格に近づけようとする意図がうかがえる。
▍④ 難問を避け、標準的な処理力の広さと正確さで選抜する
10年間でDは一度も出現せず、Bが52.7%を占める。奇問による選抜ではなく、大問1の幅広い知識確認と、大問2〜4(5)の標準的な計算・記述をどれだけ正確にこなせるかで差をつける、堅実な難度設計である。
4 大単元分析

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