めんどくさがる人の方が仕事ができる
20代の頃にプログラマーとして現場で働いていた駆け出しの頃、プロジェクトのリーダーに言われて心に残ったアドバイスがある。
それは「めんどくさがる人の方が仕事ができる」という言葉だ。
システム開発の現場では効率が全てであり、コツコツと隅から隅までデータを入力する様な冗長的な作業は許されない。いかに一瞬にして一括でデータ処理ができるか、そのために頭を使うのがシステム屋の仕事なのである。
この考え方に則ると、学生時代にコツコツと机の前で暗記を重視した勉強をしていた労働者は困ることになる。「めんどくさい」と思うことなく従順に従い、冗長的な作業が発生しても文句を言うことなく、作業を遂行し続ける。効率的な改善は見られず、組織は硬直したままだ。
こうして考えると、やっぱり「めんどくさがる人」の方が業務を改革してくれることがわかる。人の意識や行動を変えるのではなく、環境を変える方に焦点を当てた方が組織の生産性は上がるのである。
この考え方を持った状態で異業種に転職した僕は、現在の組織において上司や同僚が規律を重視した「しっかりデータを入力させろ」的な発言を聞くと違和感を覚えるようになった。しっかりデータを入力させたことで残業が発生し、残業代が掛かり、人が疲弊して辞めていっている。
これは肌感だけでものを言っているのかもしれないけれど、日本の労働文化では「一生懸命」や「努力」が美徳とされていることもあり、冗長的な作業でもめんどくさがらずに遂行できる人が評価されることに原因があると思う。
結果ではなく姿勢が評価され、結果を出せる人が評価されず、結果を出せる人も自分を正当に評価してくれる場所を求めてその現場を去ってしまう。あとに残る人たちはその後も一生懸命な姿勢を見せ続け、延々と残業を続けて残業代をあてにした生活を続ける。
ただ、自分も日本で生まれて日本で勉強をし、日本で働いてきた身であるため、そういった働き方をしてしまう気持ちは痛いほどわかる。
でも、わかるからこそ、そういった働き方は辞めたいと強く思う。成果の少ない努力を無理して続け、お互いが傷を舐めあうように評価しあい、貴重な時間を溶かしてしまうのはもう辞めたい。
20代の頃に言われた「めんどくさがる人の方が仕事ができる」の考え方を忘れないよう心に刻みこみ、少しでも早く帰れるよう、頑張らずに働いていこうと思う。
