妄想による世界一周旅行
こうして書くのは少し恥ずかしいけれど、僕の密かな楽しみのなかに「妄想」がある。眠れない時や翌日の仕事が嫌でしんどい時など、寝る前にベッドで横になりながら妄想することがあるのだ。
この癖は若い頃に身に付いたように思っている。20代前半で胃がんに罹って胃を全摘出した当時、食事が一切できない状態になったが、しょうがなくその期間を「美味いものを食う妄想をする」ことで乗り切っていた。こうして想像力が磨かれたのかもしれない。
そして、僕は旅行が好きだ。できることなら死ぬまでに世界中のあらゆる場所に行ってみたいという強い思いがある。別に有名な観光地ではなくても、行ったことがないところに訪れれば、それだけで好奇心が満たされて幸福な気持ちになれる。
しかし、悲しいことに働き盛りの会社員であることから、この好奇心を満たせるほどの時間がどうしても取れない。特に海外に行くにはある程度の長期間の休みが必要だが、日本の会社員では望むことすら難しいだろう。
もちろん、思い切って退職をして世界一周旅行をすることや、独立してフルリモートで移動しながら働くライフスタイルを実現することも考えたことはある。そういった情報発信をしている人のブログもよく読んでおり羨ましく思っているが、今の自分がすぐにできそうなことではない。
そこで先述の「妄想」の出番だ。食べたい欲求を少しでも妄想で満たせたなら、行きたい欲求も少しは満たせるのではないかと考え、もし仕事を辞めて完全なる自由の身になったらどんなルートで旅をするのか、頭のなかで計画を立てていくのだ。
まず、日本国内を周る旅を考えた時、出発地点を奈良県と想定してみる。(いつか住みたいと思っているからだ)
近鉄奈良駅から大阪へ電車で向かい、大阪駅で乗り換えて特急くろしおで和歌山県の白浜まで行き、海辺に宿泊をする。その後、また紀伊半島沿いを電車で南下して台風のレポートなどで有名な串本でもう一泊、翌日は北上して那智の滝にも立ち寄りながら三重県に入り、伊勢志摩へ向かう…。
細かいところに実情と異なる点がありそうだが、この様に細かい予定をイメージしてたてていくのだが、日本国内はほとんどの都道府県に行ったことはあるので、全てを周るイメージができた。
次は海外を周るケースを考えてみる。
まず、一か国目は台湾。台北まで飛行機で行き、台北で2泊くらいして観光スポットや夜市を楽しむ。台湾新幹線を使って一気に台南に行っても良いが、せっかくの機会なので台湾を時計回りに一周するため、まずはバスを使って花蓮に向かう。その後、台東を経由して海沿いを進んで高雄や台南へ向かい台南で宿泊をしたい。今度は北上して台中を経由し、再び台北まで戻る。
その次は飛行機でフィリピンに向かい…と結構事細かに妄想を張り巡らしていくと、インドのデリーまでたどり着くことができた。
しかし、インドよりも西へ向かうことがイメージができない。それは何故かと言うと、僕がアジアしか行ったことがないからだ。しかも、中国とインドネシアには行ったことがないので、旅の途中で省略せざるを得ない。
つまり、全く行ったことがない地域はそもそも下調べすらしていないので、知識の乏しさから地域の交通事情もわかっておらず、そもそもイメージすることができないのだ。
だからやっぱり、死ぬまでにできるだけ早く世界各国に行っておく必要があるようだ。そうしないと、妄想ですら旅ができない。
考えてみれば、先述の「美味いものを食う妄想」も、僕は結局のところ長年のリハビリを経て、ある程度の食事ができるように回復している。できる限り妄想を現実にして解決しており、妄想のままで終えていない。
単調な毎日で現実逃避したくなる時、妄想は心地良いものだが、やはり現実に変えなければいつまでも消化不良のままで終わってしまう。夢は夢のままではなく、現実に変えてこそ意味があるようだ。
