サラリーマンに変身|会社員としての自分
僕はしょっちゅう会社員の生活を嫌に感じているが、それなりの信念を持って何とか継続的に勤労を続けている。若い頃に病気で会社を辞めてしまった時、世の中で働く会社員たちがとても眩しく見え、一生懸命働くのは尊いことなのだと強く感じたことが影響している。
だから、あまり安易に仕事を辞めるようなことはせず、できる限り貢献を続けていきたいと思ってはいる。しかし、病気の頃に抱いた信念はあれども、長い期間に渡って仕事を続けるという現実は、それはそれで大変なものなのだ。挫けそうになることだってある。
僕は今までに大きな企業で働いた経験がなく、よく言えばベンチャー企業、悪く言えば中小零細企業といった組織でしか働いたことがない。
そういった環境は変化が激しく、安定を求めることは難しい。突発的な対応も多くあるし、使い慣れているツールを急に新しいものに変えなければいけないこともあり、柔軟に変化に対応する必要があるのだ。
だから、残念なことに多くの社員が辞めていってしまう現実がある。やはり変化に対応しながら働き続けることは負担に感じてしまうらしい。給料も高くないうえに福利厚生もないのだから当然と言えば当然だろう。
辞めていく彼らから話を聞いてみると、辛いことやしんどいこともあるだろうが、それ以上に「貢献できていなくて負い目を感じる」や「責任に耐えられなくなってきた」といった言葉を聞く。みんな真面目さゆえに自分を責めてしまっているようなのだ。
こういった真摯な姿勢は涙ぐましいものだが、僕はできるだけそういった感情は抱かないようにしている。
実はこれが継続的に働き続けられているコツであり、その考え方を少し詳しく紹介する。
あくまでも、仕事上で生じる様々な出来事は「会社員としての自分」が受け止めていると意識するのだ。そう、タイムカードを押した瞬間、まるでスーパーマンのように変身を遂げ、個人から「法人の下の社員」へと変身して仕事に取り組んでいるのである。
だから、顧客からのクレームに対応する時も、真摯で誠実な姿勢で謝罪と対応をしてはいるが、その顧客と接しているのは「会社員である自分」だ。上司や役員から責められた時も、「会社員である自分」が責められていると意識して受け答えをしている。
そうすると、タイムカードで退勤を押したあとは、正真正銘の個人に戻り、ようやく自分の時間を過ごすことになる。もちろん完全には難しいが、これによってできるだけ仕事の出来事をプライベートの時間にまで引きずらないで済んでいる。
一流のビジネスマンや経営者の方々にとっては、こういった姿勢は無責任な姿勢に感じるのだろうが、これはこれで僕なりの生存戦略なのだ。そして、「会社員としての自分」としては、しっかり責任感を持って仕事に取り組んでいる。
先日、僕よりも半年ほど前から在籍している社員が退職することになった。これで遂に、社内で僕より前から在籍している社員がいなくなったことになる。
皮肉なことに、無責任に思われかねないマインドで働いている人間が、最も長く貢献している結果となっている(ちなみに自慢ではないが、先月は全社でナンバーワンの売上を記録できた。ちゃんと成果も出しているんである)
ここで何が言いたいのかと言うと、誠実で真面目な人ほど、自分を追い込んでしまう傾向にあり、そういった人たちが傷ついてしまうのが凄く心苦しいのだ。しかし、残念ながら世の中は真面目な人が報われるような単純な仕組みではない。
だから、あまり堂々と真似をしては欲しくないけれど、仕事において過度に自分を責めてしまう傾向にある真面目な人には「タイムカードを押すことで違う自分に変身して働く」というマインドセットをぜひ取り入れてみてほしい。
自分を守るということが、そのまま社会にとっても価値に繋がる。そう信じて自分を追い込まず、ドライな気持ちで粛々と働くのも悪くないと思っている。
