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成功と失敗のどちらから学ぶか

しっかり調査したわけではないけれど、どちらかというと成功から学ぶアプローチのビジネス書の方が世の中には多いように思う。

成功するための考え方やノウハウが説明されるとともに、実際の成功例もあわせて書かれている。そんな本が多い気がする。

上記はいずれもアメリカ人が著した本だが、アメリカの企業文化がポジティブなのかもしれないし、キリスト教徒の寄付文化が知識の波及にも影響しているのかもしれない。

『ビジョナリーカンパニー』も『成功はゴミ箱の中に』も、どちらも胸が熱くなるような内容だった。仕事に対しての気持ちがポジティブに変わるはずなので、未読の方はぜひ読んでみて欲しい。

これらはいずれも成功者の実例を研究および取材をして書かれたもので、いわば「成功から学ぶ」スタイルのビジネス書ということになる。

こういった「成功から学ぶ」本で、上記の2冊のようなロングセラーになっている本は日本国内から出版されたものではあまり見当たらないように思える(あるかもしれないけれど僕は読んだことはなく、簡単に調べてみた感じだと見当たらなかった。ご存じの方はぜひ教えていただきたい。)

日本ではここまでのビジネス書は出版されていないのか。はたまた、出版はされたけれど売れることがなかったんだろうか。

いや、そんなことはないと気づくことができた。日本では「成功から学ぶ」のではなく「失敗から学ぶ」スタイルのビジネス書がロングセラーになっていたのである。

代表的な一冊は『失敗の本質』だ。日本の敗戦を軍事的に分析した古典的名著で、この本の分析で明らかになった日本人の問題行動は、現代の日本社会や企業文化にそのまま当てはまる。

あいまいな目的のまま闘い始めたり、リスクヘッジができていなかったり、損切の判断ができずに被害が拡大してしまったり、その他にも様々な失敗の原因が詳細に分析されている。

そして、これらの失敗を読んだ日本人の読者は他人事ではいられず、現代の社会でも自分が同じような行動をしてしまう気がしてくるところが凄い。

そして過去の悲惨な失敗の犠牲になった先祖達に対して、同じ失敗は繰り返さないことを誓う気持ちになれる。失敗を成功に繋げる意志も得ることができる一冊だと思う。

吉村昭の戦史文学も小説ではあるけれど、失敗に学ぶビジネス書としても充分に読むことができる。

吉村昭は記録文学とも呼ばれるほど、事実を事実のまま描き出しているため、当時の情景が思い描きやすい。

『戦艦武蔵』も『零式戦闘機』も、いずれも歴史に残る戦闘機と戦艦だけれども、それらを擁しても日本軍は悲惨な敗戦を迎えてしまった。

武蔵は当時、世界最大級の戦艦であるにも関わらず、敗戦が濃厚となった頃に建造され、実戦では殆ど成果をあげることなく沈没してしまった。その武蔵に途方もないほど膨大な労働力が費やされた事実が克明に描かれている。

同列に語って良いものではないかもしれないが、現代の日本企業でも成果に繋がらないことが目に見えていることに大量の人員が投入されていることは、よく目にするような気がする。

『零式戦闘機』には、当時では最新鋭とも言える性能の零式戦闘機を産み出した日本人が、その最新鋭の戦闘機を飛行場まで、なんと牛車で運んでいくのである。素晴らしい技術が存在しても、それを生産性高く利用することができないのだ。

2004年、P2P技術を利用したファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇は著作権法違反幇助の疑いで逮捕されている。映画『Winny』でも描かれたように、日本人は素晴らしい技術を持っているにも関わらず、それをうまく利用することができないらしい。

マイナンバーカードを始めとした国主導のデジタル化の普及のいざこざを見ていても、高い技術を持っているにも関わらず、集団としては一向に前に進めない傾向は今もあまり変われていないように思う。

ちなみに、下記の去年バズっていた記事を読むと、日本の技術はやっぱり高いんだな~と思える。問題は技術ではないところにあるのがよくわかる。

こうして振り返ってみて、戦勝国のアメリカでは成功に学ぶビジネス書が多く出版され、敗戦国である日本では失敗に学ぶ書籍が多く出版されていることに気づくことができた。

成功に学ぶ姿勢でポジティブになるのは良いけれども、やっぱり僕は日本人だからか、どちらかと言うと失敗に学ぶ方が向いている気がする。

未だに失敗を繰り返していることを肝に銘じて、みんなで失敗を成功に繋げていこう。そう思いはするが、時代は繰り返すのもまた事実なのかもしれない。

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