目標を立てなければいけないのか|人生はもっとシンプル
年末年始になると、「今年の目標は?」といった質問も多くされることになり、実際に目標を立てている人も多くいると思う。
「結婚する」「転職する」「旅行をする」「本を〇冊読む」「○○の資格を取る」などなど、枚挙に暇がない。
なぜ人は目標を立てるのか。きっとそうでもしないと行動力がなく、無駄な日々を過ごしてしまうからだろう。人間は弱い生き物なのだ。
しかし、それだけではなく、周囲との会話に頻出するからというのもあるんじゃないか。「今年の目標は?」と聞かれるはずだから、何か答えられるようにしておこう。そういう考えの人もいるような気がする。
もっと言えば、目標というのは別に今年のことだけではない。人生における目標を聞かれることだってあるし、その目標が崇高だったり具体的だったりすると、関心の目を惹くことができる。
さて、そんな「目標」だが、僕はあまり目標を持つことが得意ではない。そもそも明確な目標がないのだ。聞かれても困る。
若い頃にがんになってしまい、闘病を経て社会復帰をした時に取材を受けたことがあった。困難を克服した若者のポジティブな意見を聞きたかったのだろう。
「今後の目標は何ですか?」と言われても、「再発しないこと」の様な回答になってしまう。いくら困難を乗り越えていたとしても、求められているほどキラキラした目線で人生を見てはいないものなのだ。
しかし、こういう時にモヤモヤはするものの、根本的な考えとしては「これでいい」と強く思っている。「人生に目標はなくていい」と思っているのだ。
その考え方は一冊の本を読んだことがきっかけになっている。
それは『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行』という、日経ビジネス人文庫から出ている一冊だ。この本の著者であるジム・ロジャーズは、37歳で生涯暮らしていけるほどの大金を投資で稼ぎ切り、バイクで世界一周の旅に出た伝説の投資家として知られている。
この旅のなかでジムは発展途上国の株式を買い漁りながらバイクで世界を周りまくる。当時のギネスにも載ったようで、その行動力には脱帽するばかりだ。
本書のあとがきにジム・ロジャーズの人生観が語られているが、人生の目標について興味深い考え方を語っている。インタビュアーは村上龍だ。
「壮大な旅と投資、あなたにとってはどちらにプライオリティがあるのですか?」
「まずもっとも大事なのは、殺されないようにすること、二番目が人生を楽しむこと、三番目が世界を知ること。それがわたしのプライオリティです」
村上龍はこの回答を受けて「人生は本当はシンプルなもので、むずかしくしているのはわたしたち自身なのだ、ジム・ロジャーズはそういった真実を体現している」と評している。
このやり取りを読んで、目標がない人生を送っていることへの迷いが払拭されることとなった。死なないように生きることが一番大切だということは、病気を経験している身としては既に痛感している。
そして人生を楽しむことも世界を知ることも、それこそが人間の本能だと思う。村上龍が言う様に、人生は本来はもっとシンプルだったのだ。
だから今年も特に具体的な目標を立てられていない。誰かに聞かれた時にはきっと適当にふにゃふにゃした回答をしてしまうことだろう。
だけど根本的には今年も①死なないこと②楽しむこと③世界を知ることをベースに毎日を過ごすことになると思う。
