指に残ったミモザの香り
指先に、かすかに残る気配がある。
それは色でも形でもなく、ただ柔らかに漂う。
ミモザに触れたあとに残るその香りは
光の粒を編みこんだ空気のように淡く
掴もうとすれば消えてしまう。
香りは言葉にならない。
時間の中でふとオモイヲヨミガエラセル。
懐かしさとも、未来の予感ともつかない感覚。
指先から心へと静かに広がる。
そこには理由がなく、説明もいらない。
ただ「在る」ことがすでに豊かさで確かさとなる。
花は咲いて散る。
その一瞬が過ぎれば
花は枯れ
香りは薄れていく。
それでも、触れた指に残る余韻がある。
消えゆくものの残響は鮮やかで
はかなく強い。
指に残ったミモザの香りは
目には見えないけれど
確かにそこにあったことを知らせてくれる。
