骨折で入院すると、実は相続税が安くなることがある?柔道整復師が見た意外な事実
【この記事をひとことで】
おじいちゃんやおばあちゃんが骨折で入院して、そのまま家に帰れず亡くなることがあります。
そのとき「家に誰も住んでいなかったから、家の値段はそのまま」と思いがちですが、
実は違います。
国のルールでは、入院していたあいだも「その家に住んでいた」とみなしてくれることがあり、相続税(家族が財産を受け継ぐときにかかる税金)が安くなる場合があるのです。
こんにちは。
大学の接骨院で勤務している、|FP|柔道整復師|のざくです。
接骨院で働いていると、骨折で通ってくださる高齢の患者さんから、こんな相談を受けることがあります。
「もし入院したら、家はどうなるのか」 「一人暮らしで、何かあったときが心配」
こういう相談は、治療そのものとは関係ありません。
でも、患者さんにとってはとても大事なことです。
ある日、患者さんのご家族からこう聞かれました。
「父が骨折で入院したまま、家が空っぽになっているの。これって、相続税が高くなっちゃうのかな?」
私はそのとき「空っぽなら、税金は高くなるんじゃないかな」と、なんとなく思っていました。
でも調べてみると、答えはまったく逆でした。
入院して家が空っぽになっても、税金の計算では「今も住んでいる家」として扱ってもらえることがあるのです。
今日はこの、意外と知らない話をお伝えします🏥
相続税ってどうやって決まるの?🏠
まず「相続税」について、かんたんに説明します。
相続税とは、亡くなった人が残したお金や家などを、家族が受け継ぐときにかかる税金のことです。
現金なら、そのままの金額に税金がかかります。
でも家や土地は、そのまま金額にできません。
国が決めた計算方法にそって、まず「この家はいくらぐらいの価値か」を出します。
この金額のことを「評価額」と呼びます。
このとき、亡くなった人が住んでいた家には、税金を安くしてくれる特別なルールがあります。
「残された家族が、住む場所に困らないように」という理由で作られたルールです。
この特別なルールを使うと、家の評価額が最大で80%も安くなることがあります。
つまり、同じ家でも、このルールが使えるかどうかで、税金の金額が何倍も変わってくることがあるのです。
ただし、このルールには条件があります。
「亡くなる直前まで、その家に住んでいたこと」が条件です。
では、入院していて、家に誰もいなかった場合はどうなるのでしょうか。
入院で家が空っぽでも「住んでいた」ことになる理由🛏️
ここが、今日いちばんお伝えしたいところです。
国のルールでは、こう考えます。
「入院は、治療のために一時的に病院にいるだけ。生活の場所が病院に変わったわけではない。だから、入院前まで住んでいた家は、今も"生活の場所"として扱ってよい」
病院は「治療をする場所」であって、「生活する場所」ではない。だから家が空っぽになっても、税金の計算では"住んでいた家"として扱ってもらえる。
これは、私が現場で感じていることとも、とてもよく似ています。
骨折で入院された患者さんも、退院が近づくと「早く家に帰りたい」とおっしゃる方がほとんどです。
ご本人にとって、家はやっぱり生活の中心なんですよね。
入院はあくまで一時的なもの。国のルールも、同じような考え方をしているのは、少し意外でもあり、納得もできました。
ただし、注意も必要です。
入院しているあいだに、その家を他の人に貸したり、別の使い方をしていたりすると、このルールは使えなくなります。
あくまで「入院前と変わらず、その家を生活の場所として保っていたこと」が大事なポイントです。
(参考: 国税庁 入院により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例)
老人ホームに入っても、同じように税金が安くなることがある🏡
骨折治療がきっかけで、そのまま家に戻らず、老人ホームや介護施設に入る患者さんも少なくありません。
実はこのケースでも、条件を満たせば、さっきと同じように税金が安くなることがあります。
条件は2つです。
・介護が必要になったから、施設に入ったこと ・施設に入ったあと、その家を他の目的で使っていないこと
つまり「自分から自由に引っ越した」のではなく、「介護が必要で、仕方なく住む場所を変えた」という状況であることが大事なのです。
現場で働いていると、骨折による入院がきっかけで、そのまま家に戻らず施設に移る患者さんの流れを、何度も見てきました。
ご家族にとっては、介護と看病だけで精一杯になりやすい時期です。
でも、実はこの時期の状況が、あとの税金の金額にも関わってくることがある。
それを知っておくだけで、少し心に余裕が生まれるのではないかと思います。
治療費や入院費も、財産から差し引けることがある💊
もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
亡くなった時点で、まだ払っていない治療費や介護の費用があるとします。この場合、その金額は、相続する財産全体から差し引くことができます。
つまり「もらえるお金」だけでなく、「まだ払わなきゃいけないお金」もちゃんと計算に入れてもらえる仕組みになっているのです。
骨折治療のように、退院後もリハビリの費用がかかり続けるケースでは、この仕組みを知っているかどうかで、ご家族の気持ちの負担も変わってくるはずです。
こうした話は、最終的には税理士さんなど専門家に相談するのが一番です。
でも、日頃から患者さんやご家族と接する私たちのような立場の人間が、「そういう仕組みがあるみたいですよ」と、ひとこと伝えるだけでも、次の相談先を探すきっかけになると感じています。
現場だからこそ伝えられること📋
柔道整復師として骨折や転倒の治療をしていると、「治療をするだけが仕事じゃないな」と感じる場面が増えてきました。
高齢の患者さんが入院したり、施設に入ったりするとき、そのご家族は、体のことだけでなく、気持ちの面でも、そしてお金の面でも、大きな不安を抱えています。
治療の現場は、実はお金や将来の話が、一番リアルに出てくる場所でもある。
私たちが税金の専門家になる必要はありません。
ただ、「入院しても家の税金はそのままかもしれませんよ」「払っていない治療費も、財産から引いてもらえるみたいですよ」と、ひとこと伝えられるだけで、ご家族が専門家に相談するきっかけを作れることがあります。
これは、患者さんと長い時間、日常的に接する接骨院だからこそできることなのかもしれません。
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【参考リンク】
国税庁「入院により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/10/06.htm
全日本不動産協会「入院等により自宅を空き家にした場合の小規模宅地等に係る相続税の特例」https://www.zennichi.or.jp/law_faq/
