「きみの日記にも読者がいる」noteが書けなくなったあなたへの一冊
『さみしい夜にはペンを持て』という本を読んだ。
あの大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者である古賀史健さんが書かれ、2023年に出版された。
まだ上半期だが、私が今年読んだ本でお薦めしたい本No. 1だと思っている。
Amazonのレビューも2025年6月時点星4.6で、『嫌われる勇気』よりも高い。
あらすじ
うみのなか中学校に通うタコジローは、
学校にも居場所がなく、自分のことが大嫌い。
ある日、不思議なヤドカリおじさんと出会ったタコジローはその日から、どんどん変わっていく…
『嫌われる勇気』と同様に、対話形式で物語は進んでいく。
主人公のタコジローが、学校に居場所がないことを話していると「日記を書くこと」をヤドカリおじさんに勧められる。半信半疑ながらも日記を書いていくタコジロー。初めは何を書けばいいのか全く分からなかったが、おじさんから少しずつヒントをもらい、どんどん上達していく。
ただ単に、テクニックの話をしているわけではない。
どうして人は一人になる時間が必要なのか。
「話すこと」と「書くこと」は何が違うのか。
根っこの部分から、中学生にも分かる易しい表現で教えてくれる。
ヤドカリのおじさんの言葉のひとつひとつが優しくて、すべてを受け止めてくれる。
思わずメモを書き残さずにはいられなかったセリフ。
「自分は喋るのが苦手で頭の回転がにぶい。友達のように流暢に話せない」と自虐的に言う主人公に対して。
「「『思う』と「言う』の距離が遠いだけ。ことばを外に出すまでに、時間がかかっているだけさ。決して頭の回転がにぶいとかじゃない」
「ああやって考えているうちに、ことばが渋滞しちゃうこともある。でもそれは、ていねいに話そうとしている証拠だよ」
なんだか自分に言われているような気がして、ページをめくる手が止まってしまった。
私も、急に意見を求められたりすると流暢に話せないことがあり、コンプレックスのひとつだ。特に、会議のようなテンポの速い場で発言することに、昔からものすごく苦手意識がある。
歳と共にマシにはなっているものの、いい大人なのに「ほとんど発言できなかった」で終わることも多い。
でも、それは丁寧に話そうとしているから。より適切な言葉を選びたいからなんだよね、って分かってくれている。
流暢に喋る人は、「『思う』と『言う』の距離が近い人」。
確かに、周りにもいる。そういう人は話しながら考えるタイプで、特性であってどちらが偉いということは無い。
同時に、娘のことも頭に浮かぶ。
何かを聞いても、だいたい反応が遅い。忙しい時や早く決めてほしい時なんかは、急かしてしまいたくなるくらいだ。
でも、娘は自分なりの感性と美意識を持っているように思う。きっと彼女も私に似て『思う』と『言う』に距離があるのだろう。自分なりに、丁寧に話そうしたり、適切な言葉を「心の中に沢山ある色鉛筆」から選んで、描こうとしているのかもしれない。
急かしたりせずに、繊細な感性を大事にしてあげたい、と思った。
こちらのセリフも、1人時間が好きな私の心に残った。
大人が公園のベンチで1人で休憩しているところについて話すヤドカリおじさんのセリフ。
「会社での自分。仕事相手といるときの自分。親としての自分。夫としての自分、妻としての自分。いろいろだ。それでときどき、こうして公園にやってくる。『みんな』から離れて、ひとりの場所で、ひとりの時間をつくって、なんでもない自分を取り戻すわけだ。だれの目も気にしない自分をね。」
「ただし、おじさんの場合は『書くこと』によってもひとりになっているよ」「ノートを開けばそこに、自分の世界が待っているんだからね」
そうだ。自分で書く文章は、誰にも邪魔されない。書いたり消したりも自由。本当に自分だけの世界なんだ。だから楽しいんだ。
読み進めていくうちに、どんどん文章が書きたくなる。
テクニック的な面でも、もっと早く知りたかったと思うことが山のように書いてある。全体よりも細部を見つめること、スローモーションで書くこと、何かに例えてみること。
いつからか、私は「ためになること」しか発信しちゃいけないような気がしていた。有益じゃなければ読んでもらえない。面白くなければ読んでもらえない。
でも実際は、そういうわけじゃない。
現に私はnoteで、役に立ちそうな話ばかり選んで読んではいない。「人間味があるもの」「共感できるもの」に惹かれることの方が、むしろ多い。
ヤドカリおじさんの言葉のように「自分に向けられている」と思ってしまうような言葉に出会いたくてnoteを読んでいる。
私もnoteを「親友にだけ見せる日記」のように書いていってもいいかも、なんて思ったりした。
「きみの日記にも読者はいる」は、この本に実際に書かれている言葉だ。どういう意味なのかは、実際に本を読んでみてほしい。
図書館で借りたけれど、家の本棚にも置いておきたいので買うことにした。
noteを書く人に心からお勧めしたい一冊。
