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8年かけて育んだ池袋のストリート。1日限りのレストラン「FARM to STREET」が生んだ風景

まさか、池袋駅前の大通りで、こんな風景が生まれるなんて。

もともとは人が足早に通り過ぎるだけの銀行やオフィスビルが並ぶ、無機質なストリート。
そこにテーブルが並び、料理が一皿ずつていねいに運ばれ、グラスを片手に会話が交わされていく――。
この風景をつくれたことに、ただただ感動していました。

8組限定の特別なコース料理
事前に予約を受け付けて、集った人たちで乾杯
昼と夜の2部制
なんて美味しそうな表情!

駅前のストリートで味わう、コース料理とワイン

2025年6月7日。
池袋東口のグリーン大通りで開催した「IKEBUKURO LIVING LOOP」のマーケットの中で、新たな試みが実現しました。

その名も「FARM to STREET」。池袋沿線地域のつくり手と生活者を結ぶストリートのレストラン。

コースは、前菜2品、パスタ、メインの4品
豊島区のネイバーフッドな方々が参加

青空のもと、テーブルを囲みながら提供されたのは、埼玉県小川町で有機農業を営む「横田農場」と「SOU FARM」の野菜を中心とした全4皿のコース料理。
手がけたのは、豊島区東長崎にあるレストラン「Cadota」の新井直之シェフ。
その場で仕上げて、できたての料理が一皿ずつ運ばれます。提供するお皿も、野菜が育った土からつくられたもの。

小川町で発酵調味料などをつくる「Paryo」のお皿。料理は前菜のインボルティーニ

料理に合わせて提供されたのは、小川町の「KIKI WINE CLUB」が選んだワインたち。

銀行の前でテーブルを囲み、「KIKI WINE CLUB」のLaiさんの話に耳を傾ける

参加者は、野菜を育てた農家さんから在来野菜の歴史や想いを、シェフから一皿ごとのこだわりを聞きながら料理を味わいました。

「SOU FARM」の大地さん

通り過ぎるだけのストリートを「まちなかリビング」に

今でこそ人が集い、笑顔や会話が自然と生まれるこの場所も、かつてはただ通り過ぎるだけのストリートでした。

「IKEBUKURO LIVING LOOP」は、2017年にスタートしたプロジェクト。
池袋駅東口のグリーン大通りと南池袋公園を舞台に、まちなかでリビングのように居心地良く過ごす「まちなかリビングのある日常」をコンセプトにネイバーフッドコミュニティを広げています。
その中でマーケットの開催やストリートファニチャーの設置など、地道な実験を重ねてきました。

まちなかリビングのある日常を表すキービジュアル

最初は、まちの作家さんや飲食店に声をかけてマーケットを始めてみたものの、「グリーン大通りで出店したい」と思う人は0店舗。
それでも回を重ねるうちに少しずつ期待が高まり、出店数も増えて、マーケット自体がまちに知られるようになっていきました。

出店が増え始めてきた時のマーケットの様子

そこで、通りをもっと居心地の良い場所にしようと、椅子を並べてみることに。
でも、なかなか座ってもらえず、使っていたのはほとんどが運営メンバーという状況でした。

2017年、最初に並べた椅子。なかなか座る人がいなくて悲しくなりました
翌年2018年、池袋の飲食店にお願いして持参していただいたソファなどファニチャー。座るのはほとんどがお店の常連さん…

それでも諦めず、少しずつ少しずつ、通りでの過ごし方を育ててきました。ベンチやテーブルなどのストリートファニチャーをレンタルして置いたり、警察と協議して街灯を消して温かみのある照明を用意してみたり。

レンタルして設置したストリートファニチャー。人が座るようになってきました

その結果、豊島区によってグリーン大通りが再整備されました。

ベンチが常設され、照明と植栽がリニューアル

この時、給排水設備も新たに設けられたことで、マーケットでの飲食出店の幅が広がりました。

今回の「FARM to STREET」が実現できたのもこの整備があったからこそ。
給排水に二層シンクを接続させて、保健所のOKが出る設備を整えました。

2021年には木製のストリートファニチャーを3つ、社会実験として設置
2024年にはさらに3つのストリートファニチャーを設置

畑とストリート、つくる人と食べる人がつながるまちへ

ストリートに「まちなかリビングのある日常」が少しずつ根づき、池袋が暮らしに寄り添うまちへと育ちつつある。
そんな実感を持てるようになってきました。

“暮らしに寄り添うまち”としての可能性を広げているのが、池袋の立地です。
都市の中心にありながら、沿線には練馬や板橋、埼玉など、豊かな農地や生産者が集まる地域が広がっています。

そうした沿線の地域と池袋がつながり、食を通じて文化と経済の循環を生み出すことができたら。
「FARM to STREET」は、そんな思いから生まれた取り組みです。

今回の食材は、小川町で受け継がれてきた在来野菜や、地元で搾られた菜種油、挽かれた小麦粉などを使っています。

小川町の小麦粉を使ったオレッキエッテ
国分牛ミスジのロースト。調理に使う油も小川町のもの

どれもその土地に根ざし、丁寧につくられた食材ばかり。
生産者が語る言葉に耳を傾けながら口にする一皿の味わいは、より一層深いものだったと思います。

「横田農場」の岳さん
「Cadota」の新井さん

小川町と池袋、畑とストリート、つくる人と食べる人。
それぞれがつながり、食の向こうにある風景を想像しながら、まちなかで誰かと食事を囲む。そんな「FARM to STREET」の始まりに、ぜひご参加ください。

「FARM to STREET」の告知で伝えていたことが、実際にストリートに生まれていて、とても幸せな時間でした。

2部はキャンドルに火を灯し、さらに良い雰囲気に

日常に生まれた”違和感”を、当たり前に

まだたった1日だけの風景かもしれません。
でも、行き交う人たちの中には足を止め「とても素敵!」「何をしているの?」と声をかけてくれる方もいました。

「Cadota」の新井さんに話しかける親子
通りすがりの中学生も歩みがゆるやかに

いつものストリートに生まれた日常の中の”違和感”。
この違和感が当たり前になった時、まちはもっとおもしろく、日常はもっと幸せになるんじゃないかなと思っています。

大人がまちなかで楽しそうにしている風景は、きっと子どもたちにとっての希望になる。
そう信じて、これからもストリートの可能性を広げていきたいと思います。

「FARM to STREET」は、11月に開催するスペシャルマーケットで、バージョンアップしてまた開催予定。
詳細が決まり次第、リビングループのInstagramでお知らせするので、楽しみにしていてください。

今回関わってくれた皆さん、参加してくれた皆さんありがとうございました。

11月もお楽しみに

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